デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(NEEL MARTIN DESIGN OFFICE)
http://www.neelmartin.com/
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ロットリングでひっぱり出す
手描きでサムネイルを書いたりする用に、先日、ロットリングのアートペンを買ってみました。紙は、ペン先のサリサリした感触が楽しめつつ滲まないやつ、を検索してTooで扱ってるマーカーパッドを。これまでは持ち歩き用のモレスキンのノートとボールペンをデスクでも使っていたのだけど、アートペンいいね、とてもとても。

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例えばビジネス系のパンフレットの概念チャート図みたいなものであっても「形」を考えようとする時にはやっぱりまず思い付いたら一度紙に書いてみるに限ります。作家が文章を思い付いたらまずタイプしてみる、ミュージシャンが曲がひらめいたらピアノで鳴らしてみる、というのと同じで、デザイナーも頭の中にあるモノを一度、見える形にひっぱり出してみるのは大事。それをMacでやる場合も実際のところ多いのだけど、ペンというツールで描くことで、より頭の中と紙がリニアな関係で結ばれるし、その行為自体がデザインの模索になりますしね。

「ポルシェ」というクルマを思い浮かべてみてください、と言われれば、だいたいの人はかなりリアルな形で思い浮かべることができるでしょう。でもそれを書いてみて、と言われると、これがまあ難しいもんです。僕もやってみたらポルシェ書いたつもりがどう見ても日産マーチだったことがある。だいぶ値段違うぞ。
そこには、いわゆる絵の上手い下手とは違う次元のナンラカの存在があって、そこを、常に鍛えておかなくっちゃなあ、と思う次第でして。

関係ないけどこのアートペン、なに気に、カンペンケースが可愛いですぅ。
Penとブレーン
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各所で評判の「Pen」の1月号、やっと読みました。いいですねー。「特集:ルネサンスとは何か」。80頁ほどあるから雑誌の特集としては相当なボリュームなんだろうけど半分くらいは写真や図表だし、僕的にはよくぞこの少ない頁に濃密に凝縮させたなあという感想です。これ熟読するだけで、ルネサンスについて池上彰くらい語れるんじゃなかろうかなと。
それにしてもなあ…「1386年ミラノ大聖堂建設開始。1813年に完成」とかサラっと書いてあるけど、それって最初のほうに作った壁とかは完成祝いの時点で427年経て既に遺跡みたくなってるってことでしょう。そのあたりの物づくりの感覚がすごいよなと思う。イタリア人にその根気があったことが不思議というか、あるいはイタリア人だからそんなに長くかかったとみるべきか…。
フィレンツェ、ミラノ。また行きたくなる。面白いけど目の毒ですよ、これ。

そしてこれまた色んなデザイナーやADが絶賛してた「ブレーン」の2月号。これもやっと読みました。これも面白いですねー。出来上がったデザインの完成形を集めた本も見てて楽しいし勉強になるけれど、こうして「それをどう発想するか、どう創るか」の具体的な方法論に踏み込んだ企画は本当に興味深い。「電博」さんとかのチーム動員・役割分担が前提となるような手法など自分がやってみるには難しそうな話しも多かったけど、個人レベルで明日からでも実践できそうなヒントも盛りだくさん。いずれにしても物作りが好きで、そこに喜びを見出せない限りはいくら正しいロジックで取り組んでもどうにもならないんだなという事だけは、語り部の皆さんの文章のあちこちから感じ取ることができました。このブレーンとPen、保存版に認定。僭越ながら。

1月も半ば過ぎてようやくデザイナーのブログっぽいことを書いた……かな?
秋岡芳夫展と昔の社長
目黒区美術館にて秋岡芳夫展。これは是非行くべしという声を色んなところで聞きまして、最終日の今日、行ってきました。皆が薦める理由がわかりました。

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「ミノルタのカメラをデザインしたプロダクトデザイナー」、「色んな木材で食器を作った人」、「学研のチャイルドブックで有名な人」。いろんな呼称で呼ばれている方ですが、それは、それだけ社会、時代、経済を広く深くとらえてデザイン活動をされていたという証左であって、多彩だ、というのとはいささかニュアンスが違うのかな。

「メイキングストーリー」フェチの僕的には、「104会議室(中野の事務所の呼び名)」でのデザイナー同士での会議内容をチャート化した手描きメモなんかが面白かったです。あと道具、ですね。数十もの鋸やノミをディスプレイした白壁は、それだけで雄弁なデザインとして成立していたように思います。

それと、、、僕が最初に就職したプロダクトデザインの会社の社長と親交があったんだということを(展示されていた写真のいくつかは社長の撮影だった!)初めて知った! もー、社長ったらシャイなんだから…。教えてくれてればもう少し尊敬してあげたのに(笑)。急ぎの仕事でチェック柄をスキャンする必要があった時に丁度社長が履いてたチェック柄のズボン脱がしてスキャナーにかけるなんてことしなかったのに。あの時はすいませんでした。

目黒区美術館、初めて行きましたけど感じのいい所。事務所から徒歩圏内にこんなとこあったなんて知らなかったなあ。
デザインの神様
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新しいアイデアが欲しい時はパソコンの前で悶々とデザインの神様の降臨を待つよりも、脚を動かすほうがいい結果を導く確率が高いということを僕は経験の中で学んだし、私立探偵スペンサーもそう言っていた。

と、いうことでまたしてもここ、青山ブックセンターへ(もはや駆け込み寺ですな^^)。
効能あったかって? バッチリです!(また2冊買い込んでしまった。デザイン書って高い……)
TDW2011
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昨日土曜、東京デザイナーズウィークを見てきました。まだ会場がお台場で足元ボコボコの頃から行ってますが、今年はゆっくりと見ることができました。
ペルノリカールのバーで冷えたシャンパンでも楽しむつもりだったんですが、結構寒かったので思わずホットカフェオレに変更(笑)。

で、本日さきほど、出展作品の撤収。仕事を離れての作品づくりは久々でした。
閉場から1時間も経ってないのに、でっかいブースが跡形もなく解体されてたりして、もうすっかり「祭りの後」って感じでした。DAのみなさんお疲れさまでした。

ところで昨日、福石猫(SONY NEXのCFで北川景子が写してたやつですね。願いがかなう猫柄の石)を出品してたイーハトーヴ尾道さんのブースで、会期中に「福石猫」とtweetするともれなく北川景子に会えますよとお兄さんに言われて、さっそく15回くらいつぶやてるのですがいっこうに北川のキの字もやってくる気配がないのはどういう事なのでしょうかイーハトーヴ尾道さん?
TDW前夜
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神宮球場クライマックスシリーズの歓声が届く会場で、東京デザイナーズウィークの搬入完了。敷地内は、おがくずの匂い、ハンマーのトンテンカンいう音……。まさに学校祭前夜状態でしたね笑。今年は週末にじっくり見させて頂こうと思ってます。

ap bank Fund for Japanのライブが連夜あったり、偶然最近仕事でちょっと絡ませていただいたペルノ・リカール・ジャパンがBARを出展したりと今年も面白そうです。

拙作は「ARIGATO PROJECT」コーナーにぴろっと1枚、ささやかにたてかけてありますが、実際に置いてみたら全体のスケール感にくらべてほんとにぴろっと1枚、という感じでした汗。お出掛けになる方、ARIGATO PROJECTはさらっと軽やかに見てってください^^;
搬入前に眺める
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来週火曜からのTOKYO DESIGNERS WEEK2011に出展する作品、パネル加工が仕上がってきました。
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男鹿さんふたたび
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仕事の手をちょっと休めて、4年前に観た「トトロの森を描いた人 ジプリの絵職人・男鹿和男展」で買った画集(というか解説本)を、また眺めてる。もう何度こうして夜更けに眺めてますかねこの本。
うまいです…。腹立たしいほどに。画の技術ということだけじゃなくて、対象への「意識」や「とらえ方」が。
もちろん僕は美術画家ではないのだけれど、デザインの対象をどう意識してどうとらえるか、はとても大切なわけで。刺さりまくるんですこの人のおっしゃってる事が。
但しこのあたりになるとクライアントさんとか代理店さんとかと共鳴して盛り上がれる範疇じゃないエリアなので、ひとりでページめくっては、クゥ〜ッ、うまいねい、とかひとりで盛り上がってます。一見地味な所作ですけど、クリエイターにとって「ああ、この人わかってる、すげえ」と悶絶するのは無上の歓びだったりするんです^^
用具の風情
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ここ数日は黙々とパンフレットのデザインに取り組む。頁物の場合は、基準になる頁をしっかり作っておくのが大事なので、文字組みも、いろんな資料を真…参考にしながら進めています。
僕のオフィスもご多分に漏れず、カラス口とか製図用インクのボトルとか、デザイン事務所らしい風情の用具がデスクから消えてしまっていますけど、これは生き残っています(笑)。写植割付スケール。
どうですこの年季の入り方(元は透明だったんですよこれ)。ゼミの時から愛用してます。
円を描く
山中俊治さんという著名なプロダクトデザイナーのお話しの受け売りなんですが……
山中さん、仕事にかかる時の「ウオーミングアップ」として、まっさらなスケッチブックにいくつもの「円」を描くんだそうです。工業製品をちゃんと描くためには、円および楕円は基本、なんですね。
僕も、学校卒業後、最初はプロダクトデザインの会社にグラフィックデザイナーとして就職したという変な経歴が(別に変じゃないか)あるんですがそこのプロダクトデザイナーの先輩も、似たような事やってた気がします。

で、山中さんの言う綺麗な円の描き方ってのが面白いのでご紹介。

『普通は「丸」を描こうとすると、ある点から出発して、あたりを一周回ってきて出発点につなぎますが、これだとつなぎ目がいびつになります。空中に少し浮かせた状態でペン先を一定のスピードで円運動させながら当たりを付け、軌道が安定してきたところで、ふわりと着地させます。そのままするすると一周以上、紙の上を走らせてから、すっと浮上させるのです。始まりも終わりもない悠久の円運動を作り、その一部を紙に定着させる。このテクニックは私が最初に覚えたデザイナーの技になりました。今でもスケッチを描く前には、初心に返って、一枚の紙を楕円で埋めつくすことから始めます。』

さっそく僕もやってみましょう。

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……なんか歪んでる?(ちょっと周回させ過ぎ、です。たぶん)

ま、これはコンパスのごとく「正円」を描くのが目的ではないです。意外と面白いし、なんだか無心になれるので一度お試しあれ。