デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(NEEL MARTIN DESIGN OFFICE)
http://www.neelmartin.com/
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諸先輩の作例
先日コンビニで何気なく手にしたFMラジオ局のフリーペーパーのデザインが素晴らしく、こりゃアートディレクターはタダモノじゃないなと奥付けのお名前をネットで調べてみたらやはりタダモノではない方で、返す刀でAmazonで検索したらその方の作例が紹介されているという本に行き当たりました。
「本と雑誌のデザインがわかる本」……タイトルはなんだかえらくベタですね。今更そんな入門書みたいなタイトルの本買ったりしてたら、僕に仕事を出してるお客さんが、コイツに仕事頼んで大丈夫なんだろかと不安に思ったりせんでしょうか(そこは、えー、あくなき向学心と果てしのない謙虚さ、ということでひとつよろしく)。
ま、作例とインタビューが豊富、という謳い文句だし、自分が、ああいいな、と思う仕事をなさってる方の言葉が読めるならきっとためになるはずだ。ということで速攻でポチっといきまして、今日の夕方届きました。



謳い文句にたがわず、最初に調べた方を始めエディトリアルで活躍しているAD8名の作例とインタビューが満載。デザイン作業のコンピュータ化で仕事のフローがいちばん大きく変わったのがこの分野だと思いますが、本の中に「級数表」という言葉が複数回出てきて、にやり。



今では僕の場合も仕事はアウトプット段階ではほぼ100%、データ化されてますが、まだよく使いますもんねゼミの頃から使ってる級数表。たぶんラストジェネレーションではなかろうか、僕らが。

話し戻してこの本、作例はもちろんインタビューが面白いなあ。わかるわかると思わず深くうなずいてしまったり、こんな大先輩でもやはり日々悩んでらっしゃるのねと驚いたり。

「ただ、僕が良く言うのは『寂しくなったからって入れるな、削れ削れ』ってことです。隙間が少ない雑誌に慣れてしまうと、編集もホワイトスペースは不安になるのかモノを詰めたがります」
───久住欣也氏

「最終的なデザインについても、簡単にやっているようでいて地獄のような苦しみです。『あと1mm左に』というレベルの問題から、理屈やコンセプトばかりが先行して最初のひらめきを忘れてしまったり」
───岡本一宣氏

「モニターの上に材料をポンポンと置いて見通しのつかないまま何となく始めるようなデザインのやり方には違和感を感じる。手書きの時代は見通しがないと線を引き始められなかった。」
───荒金大典氏

「スタンスはそれぞれでいい。デザイナーは現場の多様性をも包括できるロジックを持つべき」
───福田政典氏


まだパラパラっと頁をめくっただけだけど、名言がいっぱい。綺麗に仕上がってるエディトリアルでも、制作過程は皆さんやっぱり大変なんですなあ当たり前だけど。
僕も頑張らねば。ナイスな作例が多いので、遠慮なく参考にさせていただきます。日々勉強ってことですね、要するに結局のところは。
名作づくし
先週末の連休は、久しぶりにレンタルDVD映画に浸かってみたです。
「ハズレ」を引く恐れの無いように、もう圧倒的な名作ばっかしを(過去何度観ていようが気にせずに)観る、というズルい戦法。

「ゴッドファーザー」
「ブレードランナー」
「ニューシネマパラダイス」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」






どうね。
文句のつけようがあるまいに。
ホントは、観た人みんなが良いと口を揃えるバットマン「ダークナイト」も借りようと思ってたんだけど、なんだか他がえらい古い作品で揃ってしまったので、今回は古き名作シリーズ、ということに。
映画は総合芸術だといいますが、この四編を続けて観て思ったんですがどれも音楽がイイんですよねー、「ニューシネマ…」と「ワンス・アポン…」の音楽はエンニオ・モリコーネ。とりわけ「ワンス・アポン…」の音楽、普段は聞かない系統のメロディーだけどいいなあ。



動画冒頭の笛のメロディーはお馴染みだけど、1:18あたりからの旋律、哀愁たっぷりの場面で流れてくるとたまらんですね。サントラCD買おうかな。

(追記:ポスターのグラフィックもいいですね四編とも。……一応グラフィックデザイナーのブログなんで思わず書き足した次第)
Easy To Remember
何年ぶりになるのかさえ正確には思い出せない。昨日の夜、もの凄く久々――たぶん6〜7年ぶり――に訪ねた南青山の小さなライブハウス「B」で、JAZZに浸る。毎月律儀に出演予定表付きのDMを送ってもらっているのに足が遠のいていたことを蝶タイのウエイターさんに詫びてからお酒を注文し、一番奥の、僕が好きなボックス席に友人と陣取る。ヴォーカルのMさん、CDでその声だけ聞かせると彼女が日本人とはまず誰も信じない。いやもうハスキーでシブいのですよ。



25歳の時、デザイン会社の先輩からクルマ(伝説のホンダ・シティ・カブリオレ。断っておきますけどあのピンク色はあくまで純正色ですから!)譲ってもらった春の週末、嬉しくてわーいわーいと無目的にドライブしていて、気付いたら房総半島の先のほうまで行ってしまいそこで夜中になり、急に通りゃんせみたいな心境になって(馬鹿だね)最寄りのコンビニで「るるぶ千葉」を立ち読みして近くの宿泊施設を調べ電話番号を暗記(買え!)。携帯がまだ普及してない時代の事です、公衆電話から電話かけて、あのすいません今から泊めてもらえますかと訪れたのが、千倉町のBというペンション。マスターは大のジャズ好きでIBM勤務の後脱サラし、何百枚ものレコードとオーディオ機器と共に千倉にペンションを開いたのだとの事。リビングはミニコンサートくらいならできそうな広さで、夜中に急に来たにも関わらずマスターはお酒作ってくれて自慢のレコードも聞かせてくれました。ちなみにマスター、翌朝一緒に朝食しながら「あんな夜中に1人で急に来たから、なんか死に場所求めてさまよってるアブナい奴じゃないかと思って夜中ずっとビビってたよ」。誰が死に場所求めてさまよってるアブナい奴じゃ。
その夏マスターから電話があり、今度ペンションにミュージシャン招いてコンサートやるからお前も来なさいというコトになり、シティで駆け付けたそのコンサートで歌っていたのがMさんだったと(はあ長い話し)。
以来Mさん、アサヒ黒生のCMソング歌ったりニューヨークで活動してた時期もあったのかな、なにせご活躍で、僕は吉祥寺のサムタイムや高円寺のジロキチ、そして青山のB(ここだけは店名は内緒。いひひ。ブルーノートじゃないよ参考までに)といった店を時折(と言っても年に数度、だったのがやがて数年に一度、というペースに…)訪ねては、変わらぬハスキーな声とピアノ、ベース、ドラムのトリオによる演奏を楽しんでいました。その間に僕は、デザイン会社を辞め、仲間と共同の事務所を始め、やがて独立し、と変化の激しい期間だったのだけど、お店と、置いてあるスコッチと、歌声はまったく変わることがなく、きっと僕にはそれが嬉しかったんだと思う。
6〜7年前最後に訪ねた時、ちょっと失敗した。取引先のお客さん数名と飲みましょうかという話しになり、僕は、いい店知ってるんですよとBに案内したんですね。お客さんは、店での過ごし方をまったく知らず――ジャズを、という意味ではなくそこでの時間の過ごし方を――、要するに歌も聞かずにくっ喋っとったワケです。悪い人でも非常識な人でもないのだけど、粋を理解してなかったんですね。その方がダサいのじゃなく、その人を連れて行った僕がダサいのです。大切な場所を接待に使おうとしていたワケです。しまったー、と思いましたね。別にお店に叱られたりしたわけじゃなかったんですが、その後最長記録に足が遠のいてしまっていたのはその時の申し訳なさもあったのかも。

Mさんが「Easy To Remember」を歌っている。目を閉じるとニューヨークを思い出す……行ったことないですけど。
店の内装も壁に掛けられた写真も変わっておらず、野菜スティックの切り方も一緒。昨夜久しぶりのBで、でも僕は、乾いたスポンジをじゅわっと水に浸したように、すぐに「昔からの感じ」に。まさしくEasy To Remember。なんだかいろんな事をいっぺんに思い出し過ぎて頭のHD容量が足らない感じ。あんまり間を空けるもんじゃありませんね。
以前は僕を見つけるとインターバルにグラス持って席まで挨拶に来てくれていたMさん、昨夜は来ず。そりゃ6年も7年も経ってるんだから客の一人なんて忘れるよな、悲しいけど仕方がないよと思ってたら、帰りがけに控え席の近くを通ったら「あらー久しぶり」と握手してくる。単に最近視力が落ちて奥の席にいた僕の顔が見えなかったんだそうで。それはそれで別の意味で悲しい…(涙)。でも忘れてるわけないよな、きっと覚えているはずだ、とも、実は内心、思っていたのでした。
It's easy to remember, but so hard to forget.... 思い出すのは簡単だけど、忘れるなんてできやしない。
深夜特急


沢木耕太郎サンの「深夜特急」。社会人になってすぐの頃に一度読んだはずなんだけど内容をだいぶ忘れてしまっていたし、例えば学生時代に訪ねた旅先を大人になってから再訪するとまた新たな感動があったりするのと同じで、こういった名著---しかも紀行文だしね---ってのは年月を経てから再読するのもまた面白かろうと思い、昨年暮れにブックオフで第一便(深夜特急は第一便、第二便、という数え方をするのです)を買い、ちょびちょびと再読してたのですが、途中で他の本に浮気したり本読む暇の無い時期が続いたりで、第二便、マレー半島の中途あたりのところでぱったりと止まってしまっていました。
先月、部屋の机の上に置きっぱなしになってた深夜特急の、しおりの所を何気なく開いたら「俺はいったいいつになったらロンドンに着くのだろう」という沢木サンの記述があって、それは見事に僕の読み進み状況を指摘している感じで、思わず慌てて再読を再開。この夏は間断なく忙しかったもので移動の電車内くらいしか読む間がなく、今、ようやく第五便のギリシャの手前です。
読書感想文的なコトを書こうとするとベラボーに長くなってしまいそうなので、ざっくりと感想を一言で述べるならば、カッコイイ本ですねー(ざっくり過ぎです、なんぼなんでも)。いや描かれている旅路そのものはカッコイイばかりじゃないし、インドあたりではかなり色んな意味で沢木さんグダグダになったりもしてるんですが、なんというか出発の動機あたりも含め全体がもう、カッコいい。巻末の高倉健サンとの対談もカッコいい。カッサンドルのイラストを使った表紙のデザインがまたカッコいいし、そのイラストの美味しい部分がカバーの裏側に惜し気も無く折り返されてるのがデザイナーとしては信じられないのだけど(よくOKもらえたなあ、という意味でですよ)これまたカッコいい。
説教臭さ、みたいなのが無いのがいいんでしょうね。この紀行文を通して世の中に物申してやろう、みたいな欲がまるで無いのが爽やかなんだろうなあ。それは沢木サンの他の著書にも共通することですが。
沢木サン他の著書、と言えば……
「バーボン・ストリート」
「チェーン・スモーキング」
そして「一瞬の夏」。
もうタイトルからしてどれもカッコいいっすよねー。内容わかんないけどとりあえず買うか、みたいな気分になりますね。今気付いたんですが、この「一瞬の夏」というタイトル、ごくごく最近、どこかのグラフィックデザイナーが自身のブログのタイトルに盗用してますね……。しかも原著のほうは再起に懸けるボクサーを追った感動のドキュメンタリーですが、パクッてるほうはと言えば、単に「草野球で一回戦で負けた」というしょーもない話しで……。
インプット


お夜食を買いに出たついでにTSUTAYAへ。どーも最近また本とか音楽とかのインプットがおろそかになっている感じがしたもんで。



coldplayのCDを借りてきました。今「iPod+iTunes」のCFで流れてるバンドですね。あれ聞いて綺麗な曲だなーと思いまして。Viva la VidaというCFの使用曲の収録アルバムは貸出中か未入荷。無念。でも今これ書きながらCDかけててますが他の曲もよろしいですねー。
TSUTAYAはすっかり店内レイアウトが変わってました。長らく行ってなかったもんなあ。独立してからというもの、ことこうしたインプットに関しては「意識して」行わないとすぐに遠ざかってしまう気が。いけませんねえ。明日は時間作って本屋さんに行こうかな。
アメリカン・ギャングスター【少しネタバレ】
【ちょっとネタバレ】

TSUTAYAでDVDやビデオを借りて観て「ああ、これは劇場で観ておくべきだったなあ」と後悔する映画ってのがありますよね。「アメリカン・ギャングスター」という映画、これはもう予告編の雰囲気的にはモロにストライクだったもんで、DVDで観たら後悔する、絶対劇場で観ようと思っていました。けど公開以来間断なく忙しくってなかなか行けず、今日、やっとまっとうな時間に仕事を終えたのでチャンスとばかりにTOHOシネマズ六本木ヒルズのサイトで上映時間をチェックする。たしかスクリーンNo.3でやってたはずだ……。



気付かないうちに2月1日の公開から1ヶ月半以上経ってたんですねえ。とっくに上映終わってました。TOHOシネマズ六本木ヒルズのスクリーンNo.3では今は「ドラえもん のび太と緑の巨人伝」を上映してるそうです。



しようがないなあ、じゃドラえもんでも…って誰が行くかい。あちゃー見損なったかと思いながらネットで調べたら、有楽町スバル座でまだやってる! 観てきました。思っていたのとは少し違う雰囲気でしたが、映画観たどー、という充実感は味わえましたね。男vs男の激突、みたいな血の気の多い話しではなくて、40年前のニューヨークと、そこに生きる人間を粛々と---でも街に対しても人に対しても敬意と愛情を持って---描いたような感じの作品でした。イヤー・オブ・ザ・ドラゴンみたいにピリピリした感じでもなく、ヒートみたいに男同士が「交錯」するわけでもないのだけど、しっかりした重量感みたいなのが残る。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの力量なんでしょうか。好きですねーこういうの。
男同士が「交錯」するわけではない、と書きましたでしょう。実際終盤になるまで、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウは顔を合わすことはないんですね。でも予告編ではラッセル・クロウが「お前の頭に銃弾をぶち込んでやる」って言ってたじゃないですか。



僕はこれを観て「男同士の激突」路線をイメージしてたわけです。いやー騙されましたね予告編屋さんに。ま、こうやって短いシーンを「劇中とは違う意味にして」つなげて予告編を仕立てる、というのはよくあるパターンですけどこれにはしてやられました。実際に映画の中でこのシーンが出て来た時は僕イスから落ちそうになりましたもん。なんぼなんでも反則ですよあれは。
うんまあ、面白かったからいいけど。久々に正統派のアメリカ映画でしたね。
久々にCDを


先週汐留に打ち合わせに行った時、少し早く着いたのでWAVEで時間つぶし。最近はiTunesでたまーにポチッとダウンロードで曲を買ったりしていたのだけど、CDって久しく買ってなかったですね。
視聴機に入っていた「MELLOW BEATS, RHYMES & VISONS」。聞いてみたらエラいカッコよろしい。いいんでないのいいんでないのと速買いし、iTunesにも取り込んでこの週末仕事の間はヘビーローテーション中です。
本もCDもネットで買えるけど、やはりたまにゃ空気を感じにリアル店鋪も行かなくちゃ。
Movieな週末【ネタバレ】
【ネタバレありです】
おとつい土曜の晩から日曜にかけて久しぶりにレンタルDVD漬け。
観たかったのに観れてなかったやつを一挙に。シアワセ。






「ディパーテッド」
リメイク元の「インファナル・アフェア」が面白かったのでこっちも観てみたんですが、かなり忠実なリメイクでしたね。だったら別に作り直すことなくね? という元も子もない素朴な疑問もあったりして。
これ、何ケ月か前の撮影立ち合いの仕事の時にスタジオの休憩室で話題になりましてね、スタイリストさんがヒザワさんディパーテッド観た?って聞くから、いやまだ、と答えたんですよ。そしたら「観たほうがいいわよ面白いわよ。でもラストは残酷よー、どっちも撃たれて死んじゃうんだから」

オチ言うなあ!
という事で、「インファナル--」のほうは観てたし思いっきりラストのネタバラシされたしで、この先どうなるのといった緊張感のまるで無いままに粛々と見終えました。
面白かったけど「インファナル--」のほうが好きかなあ僕は。

「ダイ・ハード4.0」
なんでこんな目に合うんだよう、というヘタレ感がなくって寂しかったなー。アクションがスタイリッシュ過ぎるしCGだし。本来、なんかえらい事になってる場面なのに場内の観客からは何故かちょっと笑いが起こる、みたいなのがジョン・マクレーンの本懐でしょうが。さあ来いとか言いながら戦闘機に立ち向かっていっちゃ駄目ですよ。
前回を上回る見せ場やアクションを……という物理的なエスカレートへの呪縛なんですかね。その点、前に観た「007 カジノ・ロワイヤル」は凄く良かったんだよなあ。エスカレートは潔く捨てて、どっかから飛び降りるとかすごいメカが登場するとかに頼らず、あくまで世界観を大事にしてて。ああいう「持ち味」への回帰を、ぜひ「5.0」で頼みます。

「デジャヴ」
デンゼル・ワシントンが好きなので。でもアリャリャ…という感じのお話しでした。「マイノリティ・リポート」の逆バージョンとでも言えばいいんでしょうか、過去に戻って、この先に起こる事故を防ごう、という。こういうタイムスリップ系の話しはどうしたってパラドックスに勝てないんだから、変にもっともらしい設定にしようとする小細工しなきゃいいのに。

なんだか近年のハリウッドの悪い面が出てるやつばっかし観た感じだったので、ここはひとつ、重厚なやつで締めましょうってんで、

「バベル」。
あまりにも頭を使わない作品を3本観た後だったんで、わたくし若干アホになってたと思われ。はたして理解できたのかどうか……。
楽しい映画ではないですけど、後味は悪くなかったです。描かれてゆく愚かさの中で、優しい、いいシーンがいくつか(撃たれて苦しむケイトさんに無言で煙草をくわえさせる村のお婆さん。ブラピが差し出すお金を受け取らぬ村の男。ラストシーンの役所さん)。
いずれにしてもダイハード観た後にバベル観ちゃ駄目かも。ガムがまだ口に中に残ってるのに、おでん食べちゃったよ、みたいな。
貸レコードとカセットの頃


どういう訳か、ここ数日たてつづけに坂本龍一に出くわした。
……ご本人にお会いしたかのような書き方。そうではないです、すんません。
3日前に、ブックマークしてる複数のブログが示し合わせたようにYMOについて書いていて、おとつい、自宅に引き上げてあった昔の仕事のファイルを探すべくクローゼットをゴソゴソしてたら最上段から落ちて来て僕の頭頂部を直撃したのが「戦メリ」の譜面で、昨日コンビニで立ち読みした経済誌の巻頭に坂本龍一のとてもいいインタビュー記事があった。
ということでなんだか久々にYMOが聴きたくなって(なんちゅう単純な奴…)Amazonで注文したら、今日事務所に届いた。「ソリッド・ステイト・サヴァイバー」。何年ぶりの再会だろう? LPのジャケットデザインもよーく覚えてて懐かしいなー。
さっそくiTunesに取込みながら、仕事しながら一度通しで聴いてみました。「テクノポリス」や「ライディーン」といったヒット曲はもちろん、ほかの曲も全部覚えていた。「次はあの曲」と身体が覚えてる感じ。中学1年か2年の時かな、これ最初に聴いたのは。クラスにYMO信者みたいなのがいて、そいつにカセットテープにダビングしてもらったか、さもなくば当時の「貸しレコード」屋さんから借りたのをダビングしたか……
そうか、レコードには早送りという機能が無かったし、その時持っていたカセットプレーヤーにも頭出し早送りとか無かったから、当時はアルバムを買うと全部の曲を順番にまんべんなく聴いていたんですな。だから全部の曲をちゃんと覚えてるんだ。今はiTunesでお気に入りの曲だけを「いいとこどり」しちゃいますもんね。でもアーチストって、曲順も含め全部通しで1枚、という発想でアルバムを作るんでしょうから、iPodもMDも無かったかつてのほうが、リスナーはアーチストに対して礼儀正しい接し方をしてたのかもですね。ということで、もう一度、通しで頭から順番に聴いてみよう。2曲目の「ABSOLUTE EGO DANCE」が終わりに差し掛かると、身体が既に「ライディーン」のイントロに備えて準備(何の?)を始めるような気がする。おれはパブロフの犬か、と思いながらも、この感じ、悪くない。
翻訳の雰囲気


今年も、休暇の時には文庫本を2冊、持って行きました。ほんとはその「お供」を選ぶために半日くらいかけて書店をうろつくのが毎年楽しみなんですが、今年はなんせ出発日の明け方まで仕事してたもんでそれが叶わず、慌ただしく成田の本屋で横山秀夫の短編集「深追い」とロバート・B・パーカーの「サニー・ランドル」シリーズ「虚栄」を買った。「深追い」のほうは期待通りの面白さで(相変わらずちょっと都合のいい所もあるんですが)行きの機内で読み終えてしまった。で、「虚栄」。読み残してたラストをさっき読んだんですが……。ウム。
パーカー節健在、と言えることは言えるんだけど、どーなんだろ。あまりに現代調すぎて雰囲気には欠けますねー。そもそもジェッシイ・ストーンとかスーザン・シルヴァマン(なぬ!)とか、他のシリーズのキャラがばんばん出て来るってのはいかがなものかいな? なんとなく「ゴジラ vs ガメラ」を見せられたような興ざめを感じるのは僕だけでしょうか。

それとも、翻訳のトーンのせいなのかなあ。
菊池光サンのあの、いや普通そういう喋り方はしないでしょう、という潔い直訳調---

「トップの人間は孤独だ」私がスーザンに言った。
「しかし、物静かじゃないわね」
「黙らないと殺すぞ、と嚇してみたらどうだろう」
「効果はあると思うけど、今夜のその後の気分が多少損なわれるかもしれない」(「拡がる環」より)

が好きだった僕としては、完璧に現代語調でバシっと訳し切られてしまうと、活字の奥にある「雰囲気(異国感その他)」への想像力が断たれてしまって翻訳ミステリーの楽しみが減ってしまう感じがする。
となると、僕にとっての「作家」とはチャンドラーやパーカーではなく、もしかしたら清水俊二であり菊池光だったのかもしれないですね。ということで「虚栄」読後感としては少し欲求不満アリです。
んー、雰囲気いっぱいの面白い一冊、ないですかね?