先週、久しぶりにオフィスで夜を明かすことがあって、その後すぐ打ち合わせがあったのでビルの洗面所で洗面し歯磨きしヒゲを剃って出掛けました。あんまり良くないことですけどね。そもそも徹夜なんてマネジメントがなっとらんことの証でしかないのですが、スケジュール的なことと言うよりか、面白い仕事だったのでついノリノリになって気付いたら朝、のパターンで、高校生がファイナルファンタジーやってて夜明かししたってのとメンタリティー的には大差ない話しですが。
オフィスに置いてあるヒゲソリは、Wilkinson Swordなる使い捨てタイプのやつで、一昨年、フィレンツェで買ったもの。
休暇に出る時は出発日の朝、自宅で愛用のジレットでヒゲ剃ったあと、それを洗面用具ポーチに入れ、旅行カバンに入れ、出掛ける、という段取りなのだけど、ポーチに入れるまでは入れたんですがそれを旅行カバンに入れるという段階を忘れて旅立ち、ま、そんなもん現地で調達できるだろうと思っていたのが甘く、着いたのが夜ということもあるけどかの地にはそんな物を売ってるお店などなく、コンビニもなく、もちろんイタリアのホテルに気の効いた売店などあろうはずもなく、翌日の夕方に中央駅構内のドラッグストアでやっと歯ブラシとヒゲソリが買えました。ということで僕は美麗なるフィレンツェの街を丸一日、ヒゲは剃ってない歯は磨いてないという非常に小汚い格好で歩いていたわけです。どーでもいいんですけど。
ドラッグストアでもすんなりとはいかず、最初シェーバーと言ったら店主がブラウンの電気シェーバーの凄い立派なやつを持って出てきたので、なんで旅先でそんな一生モノを買わねばならんのと慌てて首を振り、見てください僕はツーリストだ、ウエットタイプの使い捨てのでいいんです、と、身振りとブロークン英語で頑張り、イタリア語しか解さぬ店主がなおも「?」という顔でいたので、僕が「剃っちゃ捨て、剃っちゃ捨て」の「使い捨て感」アクションを10回も20回も繰り返していたら、店主が、ああわかったという顔で一度奥に行き、使い捨てヒゲソリ20個入りの大袋を持って戻って来た。ちがーう何度もアクションしたけどたくさん欲しいのではなくってミーはア・フューデイズでジャパンにゴーバックするんだからウノ個でいいのともはや何語か判らぬ言葉で訴え、どうやら5個入りが最小パッケージのようだったので、じゃそれで、ということになりました。
前に革ジャンの話しも書いたけどどうしてイタリアで買い物すると毎度こんなコントみたいなことになるんだろう?
でも楽しい思い出なんですよねこういうのも。使い残しは持って帰り、以来オフィスに置いてあるわけでして、徹夜してヒゲ剃る度に僕はフィレンツェとあの店主を思い出してちょっと懐かしい気分になります。
使い捨てとは言ったって3度や4度使ったくらいでカミソリは駄目にはならないですし、さすがの僕も完徹でヒゲソリが必要になるようなケースは年に幾度もないですから、一昨年以来、まだ二個目のやつを先週も使ったのですが、さすがに若干切れ味が落ちてきたような。今度オフィスでヒゲ剃る時はケチらずに3個目をおろしましょうか。刃が錆びていたりしてそれに気付かず剃ったりしたらエラいことになりますもんね。
いつか、僕が午前中の打ち合わせに、鼻の下とアゴを血まみれにしてあらわれたら、つまりそういうことですので、気付かぬフリしたまま粛々と会議を進めるという大人の対応をしてください。僕のほうもそこは一切問題扱いせずに「えー今回のデザインコンセプトは…」とか、鼻の下血まみれのままで普通に喋りますから。