デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(アートディレクター/グラフィックデザイナー)
http://www.neelmartin.com/
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

スタジオでの羨望
土曜日は芝浦のスタジオで撮影立ち会いディレクション。
なんだか不思議とこの秋は撮影立ち会いラッシュですね。ま、グラフィックデザインの仕事ってのはその作業そのものという意味に於いては基本的にオフィスでMacに向かってひとり黙々と……という感じになりがちなわけで、こうやって今回の案件のために自分で選んでチームを組んだスタイリストさんやカメラマンさんとビジュアルを作っていける場というのは楽しい。
今回はオシャレ&プレミアム系なメーカーさんのカタログとwebのお仕事だったので、普段なかなかやることの出来ない、被写界深度の浅い、雰囲気たっぷりのイメージカットがメイン。スタイリストさんとカメラマンさんの織りなす世界に、モニター覗いてはクライアントさんと一緒になって、おーいいねえと喜んでるアタクシ。もちろん事前の打ち合わせできちんとイメージの伝達はさせてもらってはいるのだけど、いざ撮影現場となると僕のノリは限りなく見学者に近い……。



こうやって脇からコンデジで撮ってしまうとなんのこっちゃという光景なんですけどね。5D Mark2から繰り出される画像はそりゃもう素敵で……と書いたところで改めて思うのですが、我々コンデジユーザーはその大抵が、ある段階で、一眼レフの被写界深度を利したボケの効いた写真というものに羨望を感じ始めるんですよね。特に僕なんかこうして周りにプロカメラマンが多いですからその機会が多い。そう考えると今度のリコーのGXRってのは「痛いところ」を突いてきたなあと思えなくもない。あの50mm単焦点の……いや、欲しくなってしまうんでやめとこう。いずれにせよそのあたりの話しは今度改めてゆっくりと(最近話しの「先送り」が増えてませんか僕?)。
Lease and tree

Caplio GX100 2009 Tokyo

月曜日、ガーデンプレイスにて。すっかり街中ツリーだらけですね。

さて翌火曜の夕方のこと。
打ち合わせに出掛けるべく準備していたら、税理士さんがひょっこり顔を出した。「どうも」
「………えーっと、あれ? 今日って……」
「今日5時に決算書類に署名いただく約束だったですよね」
「あらー、もちろんそうだよ、ねー」
「………忘れてました?」
「忘れるわけないじゃないですか大事な署名だもん」
「ですよね、ははは」
「はっはっは」

完全に忘れてた。

二週間くらい前に電話もらって決めたアポだったのだけど、ちょうどその数日忙しかったものでなにかこう、「入稿」とか「ラフ提」とか、忘れたらニールマーチンデザインオフィスの存続に関わる約束を忘れないのに精一杯で、かかってくる電話等は無意識に頭の中で「事業仕分け」的なことが行われ(蓮舫議員が「会計事務所とのアポとクライアントとのアポとどっちが大事ですか? 署名はその日でなければならないのですか? 署名で利益が上がるのですか?」とか矢継ぎ早に問いただし、「見送り」の結論出たみたいな)、記憶の隅っこのほうにしまわれたものと思われます。事務所に居た時でよかった。
ということで後の打ち合わせを気にしつつ若干焦りながら署名とハンコ押し。こんな個人経営のちっこい会社なのになんでサインしなきゃならない決算書類が12枚も13枚もありますの。
「はい、終わりましたー」そろそろ出掛けなくては。
「そう言えば社長、城島って活躍できると思います?」
「いやーマリナーズでも(喰い付くなってんです僕も)この2年ばかしアベレージ実は低いんだよね、8番とか打たせて打ってくれた分はもうけもの的な発想のほうがいいんじゃないですかね?」
「ま、でも今年の打率はケガとかあったから」
「そうなんだけどさ」遅刻しそうです。
「うち(横浜)なんてロッテから清水穫ったりとか微妙なことやってますよ」
「いやでも一応名前と実績はあるし(だから喰い付くなって!)、三浦以外がグダグダなんだから案外……」

こうして、その後、駅まで駆け足することになるのです。
校正戻しとアナザースカイ
昨日くらいまでの入稿ラッシュ、無事に乗り切りちょっと一息つけています。

夕方、プロデュース会社さんから、月曜に入稿した食品媒体の初稿の校正赤字が届く。この「校正戻し」ってのはクライアントさんや代理店さんによってHOW TOがマチマチ。今日受け取ったのはデザイナーの立場から言わせてもらうぶんにはもうハナマルつけてあげたいような校正戻し^_^。
この媒体の場合、初稿が複数の部署に回るので赤字紙も複数戻って来るわけですが、プロデュース会社I社の担当さんがそれを一元化し、その時点で不明な箇所があれば各部署に問い合わせ、一枚の校正紙に自分の文字で記入(転記、といいます)し直したのを届けてくれます。要するに「校正のやりとりに関して代理店たるI社で責任を持つ」という意識なんですね。なのでよしんばその赤字を僕が見て「これってどーゆー意味?」と疑問に思う箇所があっても、I社に聞けば一発で回答が得られるわけです。で、何より有り難いのが「初稿の戻しは11/20の夕方」と案件が始動する時点(今回で言うと9月の時点で)でマネジメントが…もちろんこちらに打診の上で…なされているという点。クリエイティブ側の工数と、その仕上がりをクライアントさんがチェックする工数、どちらにどのくらいかかるかも計算して逆算された日程なので、僕らは事前に作業スケジュールを組んでおけるし、来週の再入稿日までに無理なくこなせるのです。ホンマありがたや。
…と、感心してる場合でなく、上記のような「とりまとめ」については僕がやるべきケースもありますし(むしろそっちのほうが多いかな。クライアントさんと直(ちょく)でやる案件とか、クライアントさんとのやりとりも含めてお任せいただくケースとかですね)、代理店さんやプロデューサーさんがいる場合でも、ディレクターとして他のスタッフの時間に責任を持つ立場になる時には、こういったプロ意識を欠かさずに頑張らねばです。

クライアントさんや代理店さん、あるいは案件毎に進行の事情や考え方は様々ですから全てに整ったマネジメントを追求するのが無理なのは理解はしてるのですが、他のデザイナー仲間に聞いても最近は、クライアントさんから来た指示の中身を見る事さえせずに「Fwd:」で広告代理店からデザイナー側にメール転送されてくる事も多いみたいですね。あるいは急いで徹夜してデザイン出ししたのに、2週間も3週間も回答がなく、忘れかけた頃に前触れもなく突如「戻し来ました」とか言って「急ぎなんですがいつまでにできますか?」とか聞かれたりするらしい。……ぼ、僕も思い当たる件がないこともなく(汗)。ま、僕らは色んな形態の進行に対応できなくてはならないですから、ある程度の不規則性をカバーできるだけのセルフマネジメントという概念も当然必要になってきます。それができる事で、クライアントさんや代理店さんには、ニールマーチン社になら安心して仕事を出せる、と思ってもらえるようになるのでありましょう。他方、少なくとも自分たちの為に尽力してくださってるところに、相応しい労力を割こうと思うのは当然で、僕もマネジメントする側に立つケースでは、カメラマンさんやライターさん、スタイリストさんやメイクさん等に、ニールマーチン社の仕事ならいつでも喜んで手伝うよ、と言ってもらえる信頼を築かなくちゃ駄目ってことですね。

突如として話題変わって、アナザースカイというTV(ほんとに突如として…)、家にいる時にはたまに観るのですが、今宵は佐藤可士和サンがゲストとのことでさっきオフィスで観ました。可士和サンの「アナザースカイ(心の故郷的な好きな海外の場所、みたいな意味のようです)」は僕も好きなコペンハーゲンでした。うみゅ、やはりお互い天才と言われるデザイナー同士、相通じるものが……只今どさくさに紛れて不適切な発言がございましたことをお詫びします。

ということで今日の一枚、2004年のデンマーク、コペンハーゲン。恐ろしいことに「写ルンです」で撮ったと記憶しております……。なんぼなんでもせっかくの素敵な国に写ルンですはないでしょう、と、はい、自分でも思いますよ。ヒドイのでブログのカテゴリーを「candid photograph」にするのはやめとこ。ま、なにゆえそんなカメラ持って行くことになったかについてはまた改めて書きます……。



こうして、ちょっと一息とか言っておきながら、やおら長文のブログ書くわ事務所でテレビ観るわで、仕事進まぬまま終電が近づいてまいりました。前半で書いたマネジメントの「マ」の字もないという例です。皆さん真似しないように。。。
iPnone、新たなる人柱。


本日もスタジオ撮影に立ち会いでした。
それとは全然関係ない話題なんですが最近急に、廻りにiPhoneユーザーが増えてきました。今日もプロデュース会社のAさんが、おとついナンバーポータビリティーでdocomoから乗り換えたというiPhone持ってきました。なんとなく皆「様子見」を終えて持ち始めた、という感じなんですかね……。
毎晩眠りにつく前にはジョブズさまにお祈りを捧げ、米国アップル本社の方角に向けての日に三度の礼拝を欠かさない僕ですが(…うそですからね)、どうもiPhoneについてはいまいち乗り換える勇気が持てないでいます。
乗り換えではなく「2台持ち(docomoとiPhoneの)」にしている、という人も多いですね。
料金プランの設定次第では、そっちのほうが結局月額のトータルが安いという人もいましたけどほんまかいなという感じ。
Aさんという人柱がまた現れたので、数ヶ月したら彼に様子を聞いてみよう。ということで僕はまだiPod Touchで……。
箇条書き1113
今日、いくつか入稿が済みました。でもまだ継続中の案件もいくつかあり。ゆっくりと駄文を綴る時間がなかなかないですね。ということで今日も箇条書きでご勘弁。

●本日の「それってどうなの?」



リコー「GXR」。「全G連(『全国GX100愛好素人連合会』脳内で作りました!)」代表の僕としては速攻でWEBをチェックしたのですが、「おお!」という驚嘆と「おお?」という疑問が交錯状態。落ち着いてからゆっくり検証して、いずれまた書きますね。

●最近考えさせられる
僕らの仕事における「能力」って、実は事前のスケジュールマネジメント能力がその6割か7割を占めるんじゃないでしょうか。これもいずれ改めて。

●先日のローソン
牛乳2パックと雑誌を買ったら、ご愛顧キャンペーンとかでクジ引きがあり、「牛乳1パック」が当り、結果、3パックぶら下げて帰る。わたしは『LEON』か。
確信と信頼のラフデザイン
某所スタジオにて終日、クリスマス用食品の媒体撮影の立ち会いディレクションの日。
小さなスタジオの中は、やたら人口密度高し。





今回、自分的には斬新な?ワインの見せ方を考案(上の写真はもちろんまだ過程の段階ですよ)。カメラマンさんはラフ見た時、しばし絶句。時にこうしてスタッフを困らせるデザイナーなのです僕は……。しかし、ちゃんと無事に完璧に撮影していただけました。もちろん、えー、完璧に撮ってもらえる確信と信頼があったからこそ、あのようなラフを作ったわけでありまして(と、いうことにしておいていただけますか?)。
TDWとSense of Janan


東京デザイナーズ・ウイークは今日が最終日。もういつ行こうかなどと考えてるわけにもいかず、午後、事務所を抜けて神宮外苑の会場へ。年に一度、ここでしか顔を合わさないクリエイターさんもいるのですが、今年も無事に会えました。なんとなくお互い苦笑。
神宮をメイン会場にしての、このようなスタイルでの開催は今回までで、来年は場所その他、形態をまた変えるかも、とのスピーチを聞きました。有明での、足元の悪い会場の時代から見てますが、また何か面白いことを企んでるのかもしれないですね。

神宮を後にして、六本木のミッドタウンへ。「Sense of Janan」展、やっぱりオリジナルプリントも見ておきたくて。
久々にプリント見ましたがいいですねやっぱり。もちろん作品がいいからなのでしょうけど。



と同時に、おとつい買った写真集のほうの質の高さも改めて感じました。あくまでCMYKの世界で「再現」される印刷物には自ず限界があるわけで、どんなに印刷が高品質でもオリジナルとの差はどうしたって出るものなんですが、Sense of Jananの写真集の仕上がりは凄いと思います。なのに本体71頁仕立ての豪華仕上げの割りに謙虚過ぎるお値段設定。敬意を評して会場でも購入。と言うか、今後印刷物をオーダーする時に、こんな風合いにしたいという見本にも使いそうな気がしたので、一冊は綺麗な状態でとっておく用にという意味もあったのですが。

吉村さんが会場にいらしたので、おとつい書いた「推測」を確認すべく色々聞いてみました。

「これ、用紙はMr.Bか何かですよね?」
「いえ、ヴァンヌーボーなんですよ」
「あ、そうかなと思ってたんですよ」

……気を取り直してもう一つ聞いてみました。

「4色じゃなく、補色入れてますよねこれ?」
「いえ4色印刷です」
「ですよねー」

なにが「ですよねー」ですか。……情けない(涙)。
奥づけをよく見ると、だいぶ前に一度アパレルメーカーのカタログの印刷をお願いしたことのある印刷会社さんでした。そこでの700線での高精細印刷。だから網版を感じない、6色刷りと見まがうような印象だったんですねーなるほどなるほど(以上、言い訳)。

駆け足でしたが東京デザイナーズ・ウイークにSense of Janan展が見れて、なんだか久々に目と頭の保養ができました。
「以外」の事
今週末はフル稼働でお仕事。週明けまでにデザインカンプをいくつか仕上げねばです。好調と言えば好調なんだけど、このふた月ばかり仕事以外の事……映画観たりとかスポーツしたりとかアルファ君を駆ってドライブしたりとか本読んだりとか飲みに出たりとか……が、さっぱりできてないですねー。上京して以来毎回観に行っていた東京モーターショーも今年はとうとう行く時間が作れなさそうです。
黙々とアウトプットばかり続けているとなんだか頭の中の養分がカラになりそうなので、土曜はオフィスに出る前に書店に寄って、デザイン関係や写真関係の棚をざっと見て回りました。ふと目にとまって手にした一冊「Sence of Japan」。カメラマン吉村和敏サンが今までとまったく趣きの違う写真集を出すことは吉村サンのブログで読んで知っていたのですが、初めて現物を手にとりました。これは凄いと速攻買ってしまいましたよ。



圧倒的ですね。こういうの見てしまうともうCandid photographとかいって素人写真アップしたりしてるのが恥ずかしくなりますね(とか言ってこれからもやるつもりですけど何か?)。後書きを読むと4×5版での撮影だそうで。印刷面でも「Mr.B」か、それ系統の用紙(Mr.Bって紙質はマットなのに写真はグロス感が出て綺麗なんですよね)に、正確にはわからないけど4色プラス補色2色くらいなのかな?、グラフィックデザイナーとしては印刷製本かくあるべしという見本みたいな仕上がりです(無論それだけの素材だから高級紙や多色印刷が生きる訳で、どう考えても普通のコート紙のほうがいいだろうという案件で真似しても無意味どころか逆効果なので要注意なんですが^^;)。
「Sence of Japan」って今、ミッドタウンで個展もやってるんですよね。見に行きたいなあ。
やっぱり仕事以外の栄養補給って大事ですよね、いい仕事のためにも。よーし週末頑張って、来週は、東京デザイナーズ・ウイークとSence of Japan展をなんとかして見に行くぞ。クリエイター仲間とご飯行く約束もしてるし来週末にはゴルフコンペもお誘いいただいてるし、充実の秋にしましょう。東京モーターショーはこの際あきらめよう。出展が減ってなんかショボイらしいですし、それにともないコンパニオ…(以下自粛)。