先日撮影に立ち会ってきた病院のパンフレット、明日くらいには入稿の予定。Oカメラマンにお願いした写真はさすがの仕上がりでした。受け取ってからこちらで半分くらいはなんらかの後処理を施してます。ロビーの人消したりとか(開院前に撮らせてもらったんだけど、お早い患者さんが何人か^^;)、床の電源ケーブル消したりとか、大型医療機器の面のたわみと写り込み直したりとか。
(これだけモザイクにしちゃうともはやなんのことやら判りゃしませんですね)
Mac時代以前は、機器の面の直しなんてえらいことでした。デザイン会社に勤めてたルーキーの頃には「Y工房」なんて会社があって(ググってみたら編集プロダクションとして同名の会社がありますね。業種変えしたのかな?)、ポジを渡してでっかくプリントしたやつにエアブラシでレタッチしてもらって、出来上がりを再度カメラマンさんに撮影してもらって入稿、とかやった覚えがあります。何万円もの費用と1週間程の時間を費やしたんですよね。指示の入れ方が悪くて職人さんに叱られたりとか。
ブラシの職人さん達とかって、今どうしてるんでしょうか。技術の変化がもたらした恩恵に浴して、グラフィックデザイナーの僕が、デザイン制作に伴うレタッチやCG処理は無論のこと画像制作単体のお仕事さえいただいたりするようになった反面、ブラシ職人さんの仕事は奪っているということになります。写植屋さんもそうですね。よく通った写植屋さんは、渋谷は道玄坂の怪しい雑居ビルにあって、どう見ても堅気とは思えぬ風体の方々が出入りしてるロビーをビビりながら駆け抜け、仕上がりを受け取りに行ったものでした。
写植屋のオヤジさんにもよく怒られたなそう言えば。
「君の指示な、ガッチガチ過ぎるんよいっつも。7級長2の世界でこんだけ横幅あっておめえ詰め打ちでハコ打ちっつっときながらおめえ改行の位置こんだけ原稿に書き込まれてこられたら打てねえだろがこっちゃよお」
角刈りのオヤジさんに言われて、ヒザワ青年涙目。「あ、いえ、成り行きで打っちゃうと、そのぅ、結局天地が合わなくなるのかなーとか思ったりしてですね、あくまで目安をですね……」
「字数が合ってんだったらおめえうまいこと収めてくれっつわれればちゃんとうまいこと収めてやっからよ」
次の時に指示書に「うまいこと収めてください」と書いたらもっと怒られた(なんで?)。
そんな風にして仕上がった紙焼きに誤植があったりすると、普通は直してもらえるのだけどオヤジさんに怒られた後だし言いづらく、かと言って版下間違ってたら今度は会社の先輩に叱られるだろうし、結局会社の皆が帰ってからコッソリ紙焼き撮って切り貼りして直して、そのままだと切り貼りの跡が残るから出来たやつをまた紙焼き(そんな時は影が出ないようにカッターの刃を斜めに当てて切るんですよ、奥さん)して、「…完全犯罪だぜ」とか夜中に不気味に笑ったりしてました。
たった10何年か前の話しなのに、とんでもなく隔世の感がありますねー。
「予告もなしに急に頼まれたっておめえ1週間手ェ空かねえよ」とか言っておきながら、翌日「出来たから取りにおいで」と言ってくれた道玄坂のオヤジさん、願わくば今もなにかの職で若い奴を叱ってくれていることを……。