デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(アートディレクター/グラフィックデザイナー)
http://www.neelmartin.com/
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落ち着けダニエル。
夕方、ポコッと時間が空いたので、ヒルズのTOHOシネマズにて「007 慰めの報酬」を観ちゃう。ひひひ、こういう行動は普通にお勤めの諸兄には無理なことでしょうて。と思ったら館内には結構スーツ姿のサラリーマンも。だめじゃないですかサボったら(どの口が言うか?)。
DVDで観た「カジノ・ロワイヤル」が素晴らしかったので今回は是非とも劇場で観ねばと思っていたのです。



……面白かったですけどねー、カジノ・ロワイヤルの「残像」がありすぎたのかな僕の側に。
娯楽を鑑賞する側には、僕に限らず鑑賞の対象に勝手に求める雰囲気、というのがあると思うんですね。例えばチャンドラーの小説でも読もうかと思った時ってのは、単に推理モノのプロットを求めてるわけじゃなくてあの独特の雰囲気に浸りたいからだし、映画でも特にシリーズものになると「かくあるべし」という期待がどうしても事前に出来てしまう。カジノ・ロワイヤルが、まさしくその期待に応えてくれただけにその意味では少し「雰囲気」には欠けますかね今回は。
とは言ってもなあ、前回カジノ・ロワイヤルが「トランプ」でうまくいったからって、今回「百人一首」ってわけにもいかんでしょうしね。

アクションは凄かったですよ。冒頭から走ったり飛んだり撃ったり壊したりもうダニエルさん落ち着きのないことこのうえなし。カメラワークも動きまくりで息つく暇もない感じだったのでご高齢の方がこれ観ると終演時にはぐったりと疲れ果ててしまうのではないだろうかと心配にすらなります。世話焼きのばあちゃんとかだったらスクリーンのダニエルさんに向かって「あんたとりあえず一度ちょっとここ座んなさい、ほれ、お茶でも飲んで落ち着きなっての、お煎餅もあっから」とか言い出しそうな感じの今回の007でした。
ミシュランに替える
昨年暮れの車検の時に、タイヤについても「ヤマはまだあるんですが全体にヒビが出始めてるのでぼちぼち替えたほうがいいですね」と指摘されていたのです。まだ大丈夫じゃないかなあと思ってたんですが、よく見ると確かに表面が「恐竜の赤ちゃんが出てくる直前」ぽくなっててビビりまして、今日、東雲のオートバックスに買いに行ってきました。候補をみっつまで絞った(価格も重視……)時点で店員さんに相談しました。
「アルファの147なんですけど、どれがおススメですか?」
「結構スポーティーに走ったりしますか?」
いたっておとなしい運転しかしないのだけど思わず「まあね」と答えてしまう。
「お客様、首都高とかでレーンチェンジとか頻繁にするタイプですか?」
腕組みしたままニヤリと笑い、「うん」とうなずいてしまう。先日2号線で日産マーチに追い抜かれたことは内緒にしておいた。
「そうしますと高速の直線でクルーズする時とかはXXXキロくらい出しますかね?」
「そんなもんかな」出さねえよそんなに。
「じゃあミシュランのこれがいいと思いますよ」
こうしてつまらぬ見栄を張ったばっかりに、どうもキャラとは違うタイプのタイヤを勧められてしまうのでした。
ま、「胸すく走りと快適性を両立」というミシュランに貼ってあったPOPの手書きコピーは確かに147にあってる感じだし他の候補はやたら「静粛性」とかを謳ってるんだよね。アルファロメオに静粛性求めるってそれ明石家さんまに静粛性求めるくらい無意味ですし。



帰り道を走っただけだけど、安定感や剛性感(って言うのかな)はグッと上がった感じで、ノイズはむしろ増したかな? でもなんとなく147のキャラがより際立ってきたような気もします。いずれにせよドライバーの腕がそれを引き出すレベルにないことだけは確かなようですけど。
汐留にすべる。
水曜朝、汐留へ。カメラマンとの集合時間よりだいぶ前に着いたので、あらここにもあったのねのドーナツプラントで(この調子だとハマるなこりゃ……)ベーグルとコーヒーのセットで朝食。ベーグルも美味しいですねこの店は。



カメラマンとおちあい、日テレの脇を抜けてF社本社ビルへ。
先日ラフデザインを作ったソリューション系のパンフレットの、表紙用の人物撮影に立ち合う。レンタルフォトじゃなしにせっかくだからオリジナルで撮ろうというF社のその心意気がエラい。



男女一名ずつのモデルは社員さん。さすがF社のK氏が全女子社員を会議室に集めてウヘヘヘヘと丸一日かけて厳選したという(うそです)だけあってそこらへんのプロモデルよりずっといい表情。よく事情がわからなまいままにK氏に連れてこられた感じの男性社員もかなりいけてました。
とはいえ素人さんの場合どうしても最初は表情もかたくなりがちだから、ここはひとつ和ませるのがアタクシの役目、セッティングが完了して「じゃ本番いきましょうか」と言うや否や、自分のデジカメ持ってカメラマンの前に歩み出てパチッと撮ったりしてみる。
僕的には「いやお前が撮るんかい!」というツッ込みが入り、皆そりゃもう大爆笑で場の空気は一気にほぐれ……という予定だったんです。完全にすべりました。みんな、この人は何してんだろうという感じに。





敏腕ADへの道は、長く険しい。がんばります。
ERIC CLAPTON 2009
土曜の夕方から日曜朝までは頑張って仕事し、日曜は昼過ぎまで寝て、夕方、武道館にエリック・クラプトンのコンサートを観に行く。チケットが1枚余って…ということでお誘いいただいたのです。ありがとうございます。クラプトンは15年前くらいにもやはり武道館に観に行ったのだけど、その時も急にチケットが余って…のパターン。なんなんでしょうかこのエリックさんとの不思議な縁は。



前回観た時は「LEON」の表紙が似合いそうなチョイ悪オヤジ系の渋さのあったエリックさん、今回登場した時は渋さは相変わらずなんだけど、どっちかと言うと「趣味の園芸」テキスト本の表紙のほうが似合いそうな、「チョイ悪」の取れた単なるオヤジという感じでイトーヨーカドーで買い物してきた帰り、みたいな雰囲気でステージへ。やっぱりオーラってのは変化するんだなと最初は思ったんですよ。ところがひとたび楽曲が始まると、ギターは言うに及ばず声量も物凄いですねやっぱり。かっこエエわ。
登場してから終演まで「コンバンハ!」「サンキュー!」以外まったく余計なMC無しで歌い続けるエリックさん。
好物のトンカツの事なり何なり、なにか少しトークすればいいのに、と僕なんかは思うんですがどうなんでしょう。

「はいどうもそういったわけでね、エリックなんですけどもね、ほんま頑張っていかないかんなー言うてるんですけどもいやしかしあれですわ、国のほうはもうサブプライムとかリーマンブラザーズとかもうえらいことなってるわけですけどまあ僕らしっかりしていかないかんなあ言うてるんですけどね、そういったわけで次、『いとしのレイラ』聞いてください」

ごめんやっぱりそんなクラプトン嫌だ。神様と呼ばれる人はやはり寡黙なほうがいい。
ドーナツプラントの朝
先日の撮影の時に、スタイリストさんに美味しいですよと教えてもらったDOUGHNUT PLANT。恵比寿のアトレにもお店があったので、今朝出勤がてら朝食に買ってみる……。



ソルティキャラメル、うま。

一見、素っ気ない感じに仕上げたロゴや紙袋その他、デザイン戦略的にも上手いです。
「俺の朝はオールドファッション・ドーナツとブラックコーヒーから始まる……」的な、ハードボイルド系のドーナツじゃないですけどね。私立探偵スペンサーのオフィスに「ドーナツ買ってきた」と言ってソルティキャラメル持ってったら、居合わせたヴィニイ・モリスあたりに無言で射殺されてしまいそうなファンシー系ドーナツだけど僕は好きっすこれ。
別に甘党じゃないのだけど、ドーナツとタイ焼きとミニストップで売ってるアップルマンゴーパフェは好きなもので(注:それを甘党というのだ、という説も一部にはあります)、2ヶ月に一度くらいの頻度で、どーしてもドーナツじゃなきゃ嫌なのという発作が発症する朝があって、通勤路にミスドとかないのでプロントで売ってるやつとかで代償してたんだけど、こだわり派のアタクシ的にはプロントのドーナツではどこか納得のいかない部分も感じていたもので、これからはそんな朝はドーナツプラントだな。でもこれ「全ての商品には卵を使用しておりません」と謳ってるからヘルシー志向なのかと一瞬思ったけど「倍返し」くらい砂糖使ってるっぽい甘さだし調子に乗って食べると次回の健康診断でなにか凄い数値が出ることになりかねないので、たまに、ということにしておきましょう。
ちなみにお昼は同じアトレ内のRF-1の「サラダうどん」にしました。ええ、ぼちぼち、朝にドーナツ食べたりすると、昼には体が無意識にそういうアッサリしたのを求めるようになってきてます(涙)。
展覧会ふたつ
夕方、用事で出掛けたついでに展覧会をふたつ覗く。
まずはリコーのGR/GXシリーズで撮った写真だけの写真展ってのが某所ギャラリーでありまして、それはあなた、全G連(『全国GX100愛好素人連合会』今作りました!)代表の僕としては素通りするわけにはいかんではないですかいな。



うーん……ちょっと僕の思ってたのとは企画の趣旨が違ったのかな、あんまし響くものがなかったです。たぶん、出展されていたプロの方それぞれが独自の世界を展開されている展覧会なりwebなりを個々に見るほうがいいのかなというのが率直な感想。GX魂(ってなに?)に火をつけられる、というんじゃなかったです。

次いで、以前一緒に仕事してたデザイナーHがメールで教えてくれてた古代文字のアート展。こちらは響きましたね。昨年見に行った浅葉克己さんの展示会もそうですが、文字のデザインてのは深いですわ。僕が、動物がモチーフとおぼしきダイナミックな書の前で腕組みしてたら、会場にいらしたアーティストの天遊さんが説明に来てくださいました。

「何を描いた文字か、お判りですか?」
「暴れる子鹿、ですか?」
「……フェニックスです」

すいませんでした。しかし躍動する動物、という大きな方向性としては概ね正解ということで(汗)
ご本人の了解を得て、場内写真1枚。



会場も、港区の公共施設とは思えぬいい所で、小鳥のほのかなさえずりがBGMに。なんでも会場内にいる人の数に反応してBGMの鳥達も賑やかになる仕掛けなのだそうで、オープニングパーティの時はピーチクパーチクやかましかったそうです。
てことは1000人くらいで押し掛けたりするとジュラシックパークみたいな音響になるんだろうか。
そう、Hが撮ったという創作風景の写真もいい感じでした。いつの間にカメラマンデビューしてたんだ? 全G連の僕も頑張らねば。
百恵 vs SADE
フード関係の案件が続きますね、昨日は某デパート地下の秘密基地スタジオにて春の食品媒体の撮影に立ち会う。今号から誌面デザインもだいぶ衣替えさせてるので、僕的には撮影後のほうが気を抜けないんですが、とりあえず撮影が無事に終わるとホッとするもんです。



代理店のMさんが先月末で退社していて、夕方スタジオに挨拶にみえたので送別会的な感じで仕事終わりにスタッフで軽く食事。とりあえず短期の派遣で春まで働きつつ次の仕事を探すという彼女の口調からは不安が微塵も感じられない。こんなご時世という雰囲気だけで怯え、萎縮してる男どもの多いなかでなんちゅう果敢な。是非頑張ってください、お世話になりました。

昨日の撮影にはこんなNEWアイテム持ってってみました。



Altec Lansing Orbit iMT207ACE Speaker System。音響設備の無いスタジオでの立ち会いの時とか用に、iPodに繋げる手軽なやつがあるといいなあと思ってまして、先日アップルストアでゲットしたんです。システムとかエラソーなこと言ってるわりにはご覧のとおりモノラルです。が、購入時にはその音に多少期待してたんです僕。というのもオフィスのG5にはJBL spotを繋げていて、こちらはそのサイズからは信じられないようなグッとくる音を出してくれているので、いやー最近のこのテの物は凄い、見た目からは想像できない音を出すのだという信じ込みがあったんですね。で今回初めてAltecを鳴らしてみましたところ!……見た目どおりの音しか出ませんでした。推して知るべし、想像通りですはい。JBLやBOSEがいかに偉大かってことですね。てかまあJBLやBOSEはそれなりの値段するわけで、3,980円に過大な期待はあきません。
ただなんせアイスホッケーのパックほどの大きさと180gという軽さ、単四電池3本で丸一日でも鳴り続けるという使い勝手の良さは、立ち会いとか出張なんかにはうってつけかも。……それでもまあ出番は年に数度、という感じでしょうけど。
ま、そもそも、この案件の場合はデジタルグッズ大好きなカメラマンH氏がJBLのポータブルを持ち込んでるんですが、氏のiTunesがレニー・クラヴィッツありU2あり山口百恵ありムーディ勝山ありという収拾のつかないプレイリストで、たまにスタッフ全員一斉に膝から力が抜けて現場の緊張感がワヤになるので、ヒザワ厳選のプレイリストで対抗してやろうと思った次第。
ということで昨日のスタジオでは向こうで山口百恵、こっちでSADEが鳴り響くという余計に収拾のつかない事態となりました。
春色ケーキおよび非接触データ通信
午前中より食品媒体の商品オリエンがひとつ。
午後オフィスに戻ってからは、今週から取り組んでいるビジネス・ソリューション系のパンフレットのデザインの為にお勉強。クライアントさんからもらった資料、インターネットから自分で引っ張ってきた資料などなど、A4紙換算にして40頁分くらいを読み込みます。



難しくて目ぇ回る……でもだいぶん判ってきたぞー。でそれを、単に説明要素を並べてデザイン構築してしまうとそれはただの「書類」になるわけであって、そんなんであれば僕が作る必要はないのです。クライアントさんが社内でパワポか何かで作ればいいんですから。僕の課題は、このソリューションをどんな見せ方してやればユーザーさんに判りやすく伝わるパンフになるか、を考えるとこでして。

綺麗な洋服とか美しいジュエリーとか美味しそうな食品とか、商品そのものがグッドルッキングな広告物のデザインはもちろん好き。そりゃ基本的にはそっちのほうが好き。でもこういった目に見える「カタチ」を持たないソリューションを「カタチ」にするという案件も結構好きなんですよね僕。ある意味では商材のカタチそのものを自分でデザインできるんですから。腕の見せどころ、かもしれません。
ま、お勉強はアタマ痛くなりますけどねー。
午前中に春色のケーキの媒体オリエンを受け、夜は非接触データ通信技術について学ぶ。退屈しない楽しい仕事ですことほんとに(^_^;