デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(アートディレクター/グラフィックデザイナー)
http://www.neelmartin.com/
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内蔵HDを増設
仕事の切れ目を見てG5の内蔵HDを増設しようと前から思っていて、2週間くらい前にHDも買ってあったのだけれど、なかなかその切れ目というやつが訪れませんでして、そもそもにして仕事の効率化の為の増設なのに仕事が進行してるからそれができないという変な状態になっておりまして。ようやく先ほどやってみました(ま、本来べつに切れ目だの何だのいう話しじゃないんでしょうけど、昔からのMacユーザーにとってこういうのってホラ、何かトラブってMac本体までワヤになったりするのではなかろうかという恐怖があるんで、とりあえず今進行中の仕事くらいは納品して、データバックアップが済んでから…みたいな気持ちになるのもわかりますでしょ?)。





Macのサイドパネルを開けるのも久々。ホコリたまってるかなーとビビりながら中を覗いてみると、案外きれい。
取り付け自体は非常に簡単…なハズだったんですが、装着後再起動しても当初は認識せず。何度か試すも駄目で、また全部ケーブル類を抜いて電源外してパネル開けて調べてみると、増設HDに差し込んだSerial ATAケーブルの、HDドックの奥のMac本体側のコネクタが抜けていたようだったので、Macの隙間に手を突っ込んで手探りで差し込む。事前にネットで検索して見知らぬ方のブログその他でやり方を把握しておいたからなんとかなったけど、誰でも5分で簡単、というわけにはいかないですねこれは。Appleのサイトのサポートマニュアルもこういう部分はイマイチですしね。ま、なんとか事なきを得ました。



HD2、という芸の無い名前をつけてしまった。本体にどんどん溜まって無視できない容量になってきていたiTunesやiPhotoのデータと、その他「常駐」させとく必要のあるデザインデータ等を新設のHD2に移して、オリジナルのHDはかなりスッキリしました。いわゆるバックアップは外付けのHDに、「常駐組」は内蔵のほうに、と使い分けようと思っています。
それにしてもギガバイト単位の容量がちょっと油断するとすぐ埋まっていくってのもちょっと前までは考えられなかった話しですね。もっとも、フロッピーの時代に230MBのMOディスクを初めて見た時には、もう一生分の仕事のデータがこれ一枚で収まるんじゃなかろうかと半ば本気で思ったもんでしたけど。あの時はギガだのテラだのいう単位自体、知らなかったもんなあ。
アントニオの革ジャン
イベントグラフィックの仕事、百貨店のレギュラー媒体のデザインその他があって、週明けまでにアドバンテージを稼いでおきたくてこの週末はお仕事。
すっかり寒くなってきたので革ジャンを着て出陣。5月のフィレンツェでの休暇の時にサン・ロレンツォの露店で買って、以来クローゼットで出番を待っていたものです。



1700年代に衣料品を仕入れた商人たちが建物の外壁にハンガーを吊るして商売を始めたのがこのフィレンツェ、サン・ロレンツォ地区の露店街のルーツらしく、革製品―ジャケットや手袋やベルト等々―がテンコ盛りになって売られている。旅の前に読んだ中島浩郎サンという人が書いた「素顔のフィレンツェ案内」という本によるとイタリアには「ミラノで見てフィレンツェで買え」という言葉もあるそうな。すなわちイタリア・モードの中心はやはりミラノでデザインは毎年ミラノで誕生するが、なにぶん生産量が少なく値段も高い。でフィレンツェの商人がそのデザインをコピーして(おい)廉価で大量販売するという図式が成立しているらしいのです。いかにもフィレンツェ商人の気質を表すエピソードなんだけど、なるほどミケランジェロが完成しそこなった粗石積みのままのサン・ロレンツォ教会のファサード脇から始まるその露店街には独特の猥雑さというか怪しさがプンプンしていました。
休暇において買い物というのをほとんどしない僕ですが、最終日にその露店街がなんだか面白そうだったので色んなお店を覗いてると「コニチハ!」とか「ハイ、サムライ、サムライ」とか声を掛けられる。えーいうるさいうるさい。「宮迫〜デス」とか言う奴もいた。日本でそのギャグが流行ってからの「時差」を勘案すると、今頃フィレンツェの露店商は全員海パン一丁で、ソンナノ関係ナーイ、をやってるかも知れない。一軒、他の店と明らかに品揃えの違う店があり、革ジャンを見てたら店の男がニコニコと近寄ってきた。
「日本から?」
「そうだよ」
「イタリア語、OK?」
「ごめん、わからない」
「OK、じゃ英語で」
僕と同年輩の国籍不明な人なつっこい顔で、生まれてこのかた真実など口にしたことのないような、いかにもうさんくさい感じの男だった。
彼が言った、「実はね、僕のママは日本人なんだ」
絶対嘘だ。即断しましたね僕は。
「疑わしい」僕が言った、「もし僕が『僕は韓国人だ』と言う、すると君は『やあ、僕のママは韓国人なんだ』と言う。もし僕が『僕は中国人だ』と言う、すると君は…」
「待ってよ待ってよ」彼が顔の前で両手を交差させた「信じてくれ、本当にママは日本人なんだ」
「東京? 大阪?」
「サイタマ」
「さ、埼玉?」ありゃ、本当かも。言われてみると東洋が混じった顔してる。
彼(名前がわからないので、以後、便宜上彼を『アントニオ』と呼びます)は自分のへその辺りに指で横に線を引いた、「つまり僕のここから上は日本人。ここから下はイタリア人ってわけさ」
僕は、彼の顔の鼻筋に沿って縦に指で線を引き、「いや、僕が思うにここから右が日本人で左がイタリアンだ」
「うひゃーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ」アントニオは大げさに笑った「ユーはとってもファニーだな」
あんたに言われたくない。
「で、レザージャケットを探してるのかい?」
切り替え早えな。やっぱり怪しいなあ。
たぶんこの時点で、僕は海千山千の露店商の術中にハマっていたのだろうけど、なんだか楽しいし、いいか、という気持ちになっていた。
「これが好きだ、でもサイズが大き過ぎる」僕はひとつを指差して言った。なんせ欧米仕様ですので、Sサイズでも僕にはダブダブな感じだったのです。
「ユーのサイズ、あるよ。後ろの店に行こう、マイ・フレンド」
テント張りの露店の後方には、ちゃんと店鋪があるんです。アントニオはそっちに僕を誘った。店にはもっとたくさんの商品があった。
「ユーの選んだのはこのタイプだね」彼がひとつ手に取った。
「それだよ。でもこっちもいいなあ」僕は店鋪のほうで見つけた、袖にストライプの入ったやつを指差した。
「うーん、そのタイプは、もっとオールド向けだよ。ユーはヤングじゃないか。何歳だ?」
「フォーティー」
「フォーティーでしょ、だったら……フォーティー!?」
完璧な「乗り突っ込み」だった。僕はこの男がすっかり気に入っていた。
アントニオが言った「37か38かと思ってたよ」
「……大差ないよ」
「とにかく僕は、ユーにはこれがいいと思う。正直に言うよ、こっちのほうが高いんだ。でもユーには良いのを買ってほしいんだ」
ま、確かに僕が最初に目をつけ、彼も薦めてるやつのほうがデザインもプレーンだし革も柔らかかった。
「OK、そのデザインがいい」
「色は黒とダークブラウンとライトブラウンがあるけど?」
「ダークブラウン」
アントニオはOK、と言って奥から僕向けのサイズを出してきて、手渡してくれた。「着てみて」
僕はタグを見た。XLと記してある。……XL?
「子供用じゃねえか!」
「わかってる、わかってる、でもデザインもクオリティも同じだよ。試してみてよ」
着てみると、うむむ、ぴったりだ。
「ぴったりだろ?」
「うん、気に入った。幾ら?」
「320ユーロ」
ユーロ高だった5月のレートで5万円を超える。僕は目を閉じて、ぐぅーっ、と、イビキをかいて寝たふりをしてみせた。論外だ、という意味で。
「…本当は320なんだけど、でもスペシャルプライスで提供するよ」アントニオが言った。
「スペシャルプライスは幾らだい?」
「280ユーロ」
「ぐぅーっ」またイビキをかいてみせたが、前日まで市内をぶらついていた時にウィンドーを覗いて得た感覚では、ブランドものだとレザージャケットは400ユーロ以上するのが多く、スエードとかフェイクレザーので280くらいが相場のようだったので、ノンブランドの怪しい露店品と言えど本革(…だと思うけど)ならそう悪い線ではなかったと思う。
「ひゃはは、オレは弱った」アントニオが言った「これ、ポンテベッキオあたりなら400ユーロで出してるよ」
それはその通りだった。
「これもし日本で買ったら700ユーロだよ」
いやいくらなんでもそんなにしねえよ。どーも信じていいやら悪いやら。
アントニオが電卓を差し出した。「いくらが希望だい?、数字をみせてくれ」
僕は、180、と入力して液晶を彼に向けた。
「グゥーッ」即座にアントニオが寝たふりした。学習能力が高い。日本でいい芸人になれるぞ。
彼が、レジスターの横に貼ってある写真をはがして僕に見せた。赤ん坊ふたりを、アントニオが抱いている。
「見て、こどもが二人いるの」
知るかい。
「まだミルク代が…」
知らないって。
もともと僕はお店で値切る、というのが苦手で、こんなふうに値切り交渉するのは生まれて初めてで、自分がそうしている事に驚いていた。
僕が言った、「僕らは、お互いに…」歩み寄る、的な事を言いたかったのだけど英語が思い付かず、人差し指と中指を脚にみたてた指人形を両手で作り、トコトコと胸の前で歩み寄らせた。
通じたらしく、アントニオも同じ仕草をしていた。
結局200ユーロで妥協が成立し、ハイタッチしてから会計した。
「ママに伝えるよ、今日ママの国のとってもファニーな友達がジャケット買ってくれたって」

ということでアントニオから買ったこの革ジャン、確かに革質は柔らかでいい感じなのだけど、果たして良い買い物だったかどうか。もしひと冬越す前に袖がもげたり裏地が剥がれたりしたヒにゃ、僕は速攻でフィレンツェまで飛んで行って大聖堂のてっぺんに油性マジックで「アントニオのばーか」と落書きを……
ちょっと前まで夏だったように思うのだけど。
先週のクリスマス号に続いて、昨日は早くもお正月号の食品媒体の撮影立ち会いでスタジオへ。
今日もカメラさんは3チーム。3人ともカメラは同じのを使ってるんようなんだけど、RAW現像はLightroomを使うH氏、Capture Oneを使うN氏、CS3でやってるBちゃんと3者3様。僕には特性の微妙な差がよくわからず、秋葉原観光に来てる中国人みたいに3台のMacをキョロキョロと見比べる。おのずこういうのって、やがて勝ち馬が決まってくるもんなんでしょうかね。かつての「イラストレーター」と「フリーハンド(死語だわなもう)」みたいに。





ん? 食品媒体なのに何故にコートが?
色々あるんです、諸事情ってのが。
スタイリストさん、おせち料理の盛り付けした後でスカートにアイロンがけしたりして。
こういう「別部門追加カット」で洋服が来るぶんには、僕もカメラマンもアパレルのほうも得意分野なので問題ないし、食器やジュエリーでも大丈夫。ただ百貨店の場合は安請け合いすると「たんす」とか「荒巻ジャケ」とかもの凄いやつがくる懸念もなくはないのであくまでも油断は禁物なのです。
先週は僕の段取りが悪くて昼食が3時半とかになってしまって皆にひもじい思いをさせたので、今日はちゃんとせねばと思ってたら午前11時45分くらいの段階でH氏が「…腹減ったな」と先制攻撃の独り言を聞こえるように言う。わかったってば。
順調に終了。この案件の年内の撮影はおしまい。解散する時に皆口々に、「じゃあ忘年会で」と言って別れる。別れてからマジかいなと思う。忘年会? ちょっと前まで夏だったように思うのだけど。
ぐりぐり2年分
某所にて昼食を挟んで3時間ほどの打ち合わせを終え、オフィスへの帰途、ビックカメラでMacのマウスを買ってきました。



最近、マウス上面の“ぐりぐりボール”の感度が悪く、掃除してやると一時的には復旧するんだけどすぐまたスクロール操作に反応しなくなってしまうという状態で、作業効率に影響しかねなかったもので新品に交換することにしたのです。
2年つかったマウスと新品とを並べてみてびっくり。



“ぐりぐりボール”の色! 元々は明るいグレーだったんですね。使ってたほうのは使い込んだ土鍋みたいな色になっちゃってるもんなー。2年の間に何万回転したのやら。
否応無しに、年が暮れゆくのを。
某所スタジオにて、デパート食品媒体Xmas号の撮影立ち合い。
今日はスタジオ入りした制作側スタッフがアシスタントさん含めるととうとう10人を超えた。なんだかこの媒体の撮影、回を追うごとに色んな意味でエスカレートしてるようにも思うのですが気のせいでしょうか。



出番待ちのチキンの背後に忍びよってGX100のマクロで接写……完全に遊んでますねこの男は、仕事せんと。



ラフの段階で好き勝手に僕が合成Photosop画像で作った表紙案、物理的も理論的にもこのスタジオでの一発撮りではありえないシチュエーションを描いてしまったようでして、ここじゃ撮れない部分はこさえた大道具を後日撮影して合成処理で仕上げることに。うん、いや僕もわかってたんだけどね、これは30mくらい引きがなきゃ撮れない絵だよなってさ。だってスゲエいい案だと思って提出したけどまさかホントにその案でOKもらえるって思ってなかったんだもん。自分の望んでた案で決まったって言われて「あ、うわー、そうですか、良かった、あははー」とか言ってうろたえてるという珍しいデザイナーなのです僕は。ことによると、冒頭で述べたエスカレートの主たる原因は僕にあったりして。
全カット撮影終えてスタジオさんのバンに機材積み終わって解散したらもう夜中12時近い。じゃ俺は事務所戻るねーと皆と別れたんだけど山手線乗ってるうちに意志が挫けて、思わずそのまま直帰。来週にはお正月号の撮影もあります。否応無しに、年が暮れることを意識しちゃいますね。
宮崎駿とホットカフェオレ
昨夜、夏に家のHDレコーダに録ったままにしてた「NHK プロフェッショナル〜仕事の流儀〜 宮崎駿」をやっと見る。「ポニョ」の制作過程に密着したドキュメンタリーです。こういうの大好き。



すごく面白かったんだけど、同時に、ムチ打たれる思いというか、反省させられるというか、ある意味見る側にとってはシンドイですね相変わらず。「もののけ姫はこうして生まれた」を見た時と同じく「お前はここまで本気でものづくりしているか?」と問われるような感じがあって、思わずスンマセン無理っす、と謝ってしまいそうになりますね。圧倒的な才能、加えて圧倒的な取り組み方。アニメ作家を目指してる人などにとっては残酷かもしれないなとすら思う。そーゆー人が見たら絶対へこみますよこれ。ま、それはともかくとして番組内でちょっと出てきたんですが「ナウシカ」からはもう24年、「カリオストロの城」に至っては公開から30年近くになるんですって。そうしますってえとあなた、「未来少年コナン」なんてもう……くわばらくわばら。
それにしてもNHKもよくぞ300日も密着したもんですね。宮崎さんはもちろん番組スタッフの仕事っぷりも凄かったです。痛みに耐え(?)よく頑張った!感動した!

ということで今日はこうしちゃおられん仕事せねばとばかりに(単純な奴)午後からオフィスに。
仕事終えて帰途につき、電車降りたらなんだかやたら寒く、駅前のファミレスでカフェオレを飲む。もうファミレスとかの窓明かりに「暖」を感じる季節になってるってことですね。


クリーミィな11月。
製菓の専門学校にてイベント用パンフレットのための撮影立ち会い。
実習室の一角をお借りしての撮影。洋菓子科の先生に、この撮影のためにケーキを30個ほど作っていただきました、ありがとうございます。



事前に先生にイメージを伝えるためにラフを作ったんですが、ケーキのサイズや色調をなるべく具体的にお伝えしたかったので、結局ケーキ屋さんでケーキ買ってデジカメで撮ってラフ作りました。



30個のケーキがダーッと並んでるというビジュアル(5個だけ買ってあとはphotoshopで増殖したんですが)。で、その5個はラフができた時点で当然食べたわけです。
今日の本番でも、撮影後には出番を終えたケーキを美味しく頂いたわけです。
来週にはデパートのクリスマス食品媒体の撮影がありまして、各社Xmasケーキがたくさん登場しまして、おそらくは、撮影後に美味しく頂くわけです。
その頃にはおそらく、ふんっ、と力を入れれば耳の穴から生クリームがピューっと噴出するような芸でもできるほどに体内にケーキが蓄積されていることでしょう。アートディレクターの11月はクリーミィなのです。
オリエン及び新アプリ
某百貨店にてクリスマス食品媒体の掲載商品オリエン。クリスマスやお正月は、その時期限定の商品が多いから、オリエンの時点でまだ現物が無い物も。それらは紙資料でのオリエンとなり、テーブルの上は旨そうなオードブルの現物やシャンパンやワイン、色んな書類でわっさわさ。傍目には、シャンパンはあるしオードブルはあるしでえらくバブリーなケータリング付きの会議か何かに見えたかも。撮影日に間違えないように、カット毎のグルーピングをデジカメで。こういうメモ的な用途の時にはDSC-T10が便利。



オフィスに戻ると、先週末に注文した新アプリケーションが届いてた。



ちょっとまだ使いこなせるかどうかわからないんで何かは内緒にしておこっと(プロのデザイナー向けというよりは明らかに一般向けのアプリなんで使いこなせなきゃこまるって話しですけどね)。勉強してモノにしなくては(汗)。