今年のお盆は結構忙しかったですね。普通いわゆる「お盆進行」というのはお盆の「前」にバタバタ動くことを言うんだと思うのですが、アタクシの場合文字通りお盆の「真っただ中」に仕事が進行することを言います。出版・印刷の世界とかですと「お盆前」になるんでしょうね。デザインの仕事の場合、「じゃ、お盆明けあたりに一発ラフ見せていただいてですね」かなんか言い残してお客さんは翌日から海外行っちゃったりして、僕は後から考えてみるとなんだかちょっと納得いかない感じで首を傾げながらMacに向かってたりして。で、皆さん復活された今週はさっそく朝イチからとか午前スタートの打ち合わせが多く、ま、それまでちょっと生活サイクルが乱れてた僕には修復できていい機会とばかりに早起きの日々。火曜と本日木曜は、少し早く打ち合わせ場所に着いて、両日ともスタバでシナモンドーナツとアイスコーヒーで朝食。
とくにシナモンドーナツに目がないということでもないんですが、おそらく、先日再読した私立探偵スペンサーの文庫本にスペンサーがシナモンドーナツとコーヒーで優雅に朝食してる場面があって思わず影響されていたものと思われます。
ドーナツ食べながら表通りを眺めてると、火曜にはまだ気分的に社会復帰できていないような表情で土産と思しきお菓子の紙袋を手に出社するサラリーマンも見かけました。里帰りでもしてたのでしょうかね。僕自身は夏休みに関しては習慣がなくなっていますが、知人・友人がどこかに行ってきた(旅行であれ、帰郷&お墓参りであれ)話しを聞かせてもらうのも楽しいものです。
そう、スペンサーの文庫本にもこんな一節がありました。容疑者を追ってコペンハーゲンを訪ねたスペンサーが、ボストンに残してきた恋人のスーザンに想い馳せて語るシーン。
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私は、代金を払って、ティヴォリ庭園の正面の出口に向かった。通りの向こうに、赤煉瓦造りの大きな中央駅がある。通りを渡って、駅に入って行った。そこに用事はなかったのだが、あらゆる点でいかにもヨーロッパ的な駅なので、中を歩いてみたかった。高い半円天井の広大な中央ホールには、レストランや店、荷物預かり所などがそこらじゅうにあって、リュックを背負った若者が溢れ、各国の言葉が入り乱れている。あちこちの発車フォームから、パリ、ローマ、ミュンヘン、ベルグラードと、各地に向かって列車が出ている。構内は乗降客の興奮で活気に満ち溢れている。私は、大いに気に入った。一時間近く歩き回って、その雰囲気を楽しんだ。繁栄の頂点にあった十九世紀のヨーロッパを思い浮かべていた。駅の中は生気が渦巻いている。
〈ああ、スーズ〉と思った。〈きみは、ここにくるべきだ、これを見るべきだ〉。
(「ユダの山羊」より)
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もう何べんも読んでるんですが、好きな一節ですね。いやほんと最初のほうで恨みがましいこと書きましたけど行くべきなんですよ。〈生気が渦巻く〉とこに、特に若いうちに。今年の夏でもG.Wでも、周辺の20代の人達にあんまりどこか行きたいという欲求を感じないんですよね。物理的金銭的に「行けない」のではなく、別に行かなくていいッスよ的な雰囲気が多いのはちょっと気になるなー(話し聞いてみると非常に合理的な「行かなくていい理由」を語ってはくれて、聞いてるうちに思わず「ごもっとも」と頷いてしまったりしてるんですが)。
ま、そう言いつつ今週の打ち合わせで「どーも」とか言いながらにこやかに現れたクライアントさんの偉い人がこんがりと日焼けしてた時には軽く殺意抱きましたけどね僕ぁ。でもなんだか相対的に若い人が出掛けてないですね確かに。行ってこい行ってこい、その間おっちゃん達が仕事しといてあげるから。
……なんだか何を言おうとしてるんだか脈略のない文章になってきましたので、今宵はこれにて。