デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(アートディレクター/グラフィックデザイナー)
http://www.neelmartin.com/
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NV-U2その後


カーナビ「NV-U2」を付けてふた月ほど。賢いんだかアホなんだかわからない奴ですね。先日自宅からオフィスまで、ま、ナビ使うまでもない道順なんですが参考までにNV-U2君はどんな道で行くのだろうかと試しにナビの言うままに走ってみたんですが、外苑西通りからありえないほど細い小道に入るように指示するんで、ほんまかいなと曲がってみましたら案の定すぐ行き止まり。にっちもさっちもいかなくなったんですが「この先、150メートル、右方向です」とか悪びれることもなく言う。いやこの状況を見なさい150メートルどころか1.5メートルも進めませんから。そうかと思うといつも大通りだけを通って行っていたゴルフ打ちっぱなし練習場からの帰りには幾つかの小道を巧みに組み合わせた見事なナビを見せてくれるし。「この先、事故多発地点です」とNV-U2が言った直後に本当にそこでバイクと軽トラックが事故を起こしていたことがあって、うわーこいつの言うこと信じようと誓った直後、またしてもマニアックな小道にいざなってくれて二度と信じるかいと叫んだりもしました。
ま、少なくとも最終的に目的地まで案内してくれる事は確かなので(あたりまえです)、これしか使ったことがないので他機種との比較はできないんですが充分使えますね。
あとこれはNV-U2の責任じゃないんだけど、NV-U2の音声が、ETCの機械の声とそっくりなんですよ(たいていこのテの声って似てるんでしょうけどね)。高速の料金所を通過した時などは「通過しました、料金は680円…」「この先、左からの合流が…」と「同じ声」が同時にしゃべるもので、なんてなんて?と思わず聞き返す羽目になるという。今度いつか同じ声色の女性を乗せてドライブしてみたいです。三人いっぺんに同じ声で話しかけられたヒにゃ、クルマは激しく蛇行した挙げ句ガードレールに突っ込むような予感。
21_21 DESIGN SIGHTとFrancfranc


東京ミッドタウンの「21_21 DESIGN SIGHT」で浅葉克己さんディレクションの「祈りの痕跡。」展を見る。浅葉さんについての説明はしだすと長くなるのでここでは省きますが、野球界に長嶋茂雄あり、ならばグラフィックデザイン界に浅葉克己あり、みたいな人です(全然わかんないって)。ジェダイの騎士にマスター・ヨーダあり、ならばグラフィックデザイン界に浅葉克己あり、みたいな人です(余計わかんないって。てか失礼だってば!)。大学の学校祭で講演にお招き(デザイン科と建築科からなる大学だったので、毎年、デザイナーの方、建築家の方に来ていただいてたんです)した時にお会いしたのが、かれこれ、えー、19年前になるのかな。講演会担当の実行委員だったにもかかわらず当時僕は不勉強にも浅葉先生のことをよく存じ上げず、学校祭の一週間前くらいになってなんだか凄い人らしいぞと知ったりしてたような恐ろしい学生でした。その後5年後くらいに千葉の千倉で催されたあるイベントで一度、更に7〜8年してからクリエイターズ・チャネルのスウェーデン大使館でのイベントで一度、再会する機会があって、その都度歩み寄って先生自分はカクカクシカジカで以前お世話になったのですと申し出ると、先生しばし間を置かれた後、…あー、覚えてるよ覚えてるよおと肩を叩いてくださったのだけど、絶対覚えてらっしゃらなかったと思う(笑)。

世の中にカッチョいいものやイケてるデザインというのは多いわけですが、その素(もと)となるものは当たり前だけどクリエイターが頑張って作ったわけです。その創作のプロセスに想い馳せることなくついつい完成された表面だけ見て「あんな感じで」「こんなトーンで」と薄い思惑を飛び交わせるだけで何か創作してるような「気分」に浸ろうとしがちになる中で、その「素」のとこをちょっと見せてもらえたような展示でした。やっぱものづくりってのは困難だけど素晴らしい。頑張らねば。でも一番面白かったのは、噂には聞いていた「浅葉ノート」。日記と呼ぶには丁寧すぎてメモと呼ぶには内容の濃すぎる、浅葉氏が30年来書き連ねてきたA4サイズのノートの抜粋が壁一面に展示されてました。ううむこれは凄い、と相変わらず変なとこに食いついてしまったアタクシ。



その後渋谷に移動して、取り掛かり中のパッケージデザインのアイデアを盗……ヒントを得るべく、先日新装開店したFrancfrancへ。パッケージを見に行ったんだけど、よく見るとここは、取り揃える商品自体の色味(例のCMYKで再現できなさそうなピンクとかグリーンとかパープルとか、)や素材感を上手に集合させてフロア自体でひとつのデザインを形成してるという感じで、個々のパッケージ自体はいたって簡素な透明なPPの箱だったりするんですね。ふーむ。
そんなこんなでちょっと頭の栄養補給をした感じの一日。どーでもいいけど暑いっすね。
今すぐ飛行機に乗りたくなる本
土曜日は友人と元気に遊び日曜はちょこっと仕事し月曜はグデっと休む、という、徐々に衰弱した3連休でした。月曜にはこんな本を読みました。



「いますぐ飛行機に乗りたくなる本」。はははは、いやーなんとも罪作りな本ですねー、まんまと術中にハマって読み終わってそのまま思わず成田に向かおうかと思いましたよ僕ぁ。航空ジャーナリストの方が書かれた本です。僕の場合年一度の休暇では成田に向かう東関道でバックミラーに日常の東京が遠ざかっていく時点で「フフムワハハハハハ」と邪悪な笑みが腹の底からこみ上げて来るようなタイプでして、飛行機はもちろんのこと空港も好きだし、とりわけトランジットで降りた国際空港でふと気付くと周囲から日本語が消え去っている中で若干オロオロしながらコーヒーなんぞ飲みつつ過ごす時間も大好きだったりするもんで、そんな人にはたまらん本ですな。



(ちなみにこの「トランジットの空港が好き」ってのは、共感する人にはムチャクチャ共感されてマニアックに盛り上がるし、単に面倒くさいプロセスと感じてる人にはまったくどーでもいい話しみたいですね。写真は5月に降りたチューリッヒ。ここも素敵な空港でした。4年前にデンマークに行った時にも降りていて、その時はH.I.Sの人にチューリッヒの空港いいですよ〜と聞かされていてたいそう楽しみにしていたんですが、行ってみたら改装中で全部ブルーシートで覆われていて、唯一開いていたショップで一本のボールペンを2時間くらいじーっと見つめてました。今回リベンジ達成!)。

本の内容には各社のファーストクラスとかラウンジサービスとかいったご縁のなさそうな話題も多いんですが、例のエアバスの2階建て新鋭機A380のスイートクラスくらいの話しになってくるともう現実味がどうとかじゃなくても単純に興味深くはありますね。でもなあ、「飛行機に乗っていることを忘れるような」「まるでホテルのような」という謳い文句に対して「いやそれ意味無くない?」とツッ込むのは僕だけでしょうか。なんでせっかく飛行機乗ってるのにそれを忘れ、ホテルにいるように思わなにゃいけないのでしょう。だったら最初からホテルに泊まりますよ僕は。そもそもにしてA380のシートがなんぼ広くてどんだけリクライニングしようが東横インより狭いんだし。A380スイートクラスの8時間のフライト料金が133万円也。東横イン品川が一泊6800円。なぜにスイートクラスが自らをホテルに例える必要がありますの(ま東横インとは言ってないけど)。ついでに言うと高級ホテルの謳い文句でよくある「まるでご自宅にいるかのようなくつろぎを…」ってのも、だったら自宅にいますよとツッ込みたくなる。これはなんなんでしょう? 自宅→ホテル→飛行機と、より高額な場所に移行するほどに、飛行機はホテルのようだと謳いホテルは自宅のようだと謳う。不思議だ。誰か僕にわかるように説明してください。
docomoのiPhone!?
午前中、新富の大判出力ショップへ。お客様の指定で初めて利用させていただくところだったので、明日データを入れる本番のパネル出力の前に、一度色調や濃度の調子を見ておきたくて夕べのうちに小さなサンプルデータを送っておいたのです。結果、そんな必要なかったなあと思うほど見本データは綺麗に仕上がってました。
事務所に戻るべく有楽町駅までぽこぽこ歩く。駅前のビックカメラ覗いてみると、iPhoneが……。



実機を初めて見ました……。うー欲しい……いや、いいもん僕はiPod touch持ってるもん。
事務所戻ってしばらくすると無意識のうちに、touchにこんなことをしてました…。



ばばん。



docomoのiPhoneだー。



長年使い慣れた押しボタンで操作できます。メールも従来通り使えます。もちろん絵文字だってOK。



おサイフケータイも挿入できます。とっても便利。

・・・・・・・・・・。

すごい切ない気持ち。

と思っていたら、この状態の時に、携帯に電話が来てしまったですよ代理店さんから。
慌てて輪ゴムで全部束ねたままで通話ボタン押して話したんですが……、意外といけるんですなコレが。案外違和感なく片手で持って通話できる。
一時は、自分は一体なんちゅう訳の分からないことを無意識の中でしたのと慄然としたんですが、今では「…アリでない?」とちょっと思わなくもなかったりして。
Alfa MiTo
Alfaから先週、DMメールが届いてたのですがちょっと多忙モードで放置してまして。先ほど見てみました。「MiTo」なる、ちっこいのが出るみたいですね。



サイドビューなんか結構いい感じだし、このくらいの「人馬一体感」のあるコンパクトなのは好きなんですが……。



フロントマスクやリアビューを見ると、ちょっとないかな……。
わかりやすいカッコ良さを、常に発していて欲しいんですけどねーアルファには。
LC-1をつけてみる
夕方、池袋で打ち合わせ。少し早く着いたので、西口のビックカメラで時間つぶししてましたらGX200が既に店頭に。ん?すると例のレンズキャップもあるのではと思い店員さんに聞いてみる。ありました。速攻ゲットしました。



打ち合わせの後、事務所に戻り早速つけてみる。旧型機に付けれるってのはエラいですねー。



……うむむ。端正で雰囲気のあるGX100のたたずまいを、やはり若干微妙なものにしている気がしないでも……。田舎で変なリアウイング付けたベンツを見た時のようなこの感覚。
ま、気にしない気にしない。電源入れてみましょう。



何の脈略もなくなぜかガンダムの「ズゴック」を思い出す。

ま確かに便利にはなりますね。しかし欠点も発見。キャップの部品が本体下部から少しはみ出してるので、カメラを平らなところに置くと少し傾く。



わずかですけどね。でも僕の場合地面に置いて撮ったりした時に思わぬ傑作が生まれていたりもするので、この傾きはちょっと痛いかも。
それにですね、このキャップ、明るいほうに向けてかざして見ると……



3枚に分かれたフタの間に、思いっきり隙間あるんですけど。これホコリ入り放題じゃないでしょうか。大丈夫なのかな? そのうちこの隙間の形に合わせてレンズにホコリが付着したヒにゃ、全ての写真に「三ツ矢サイダー」みたいな影が写ることになりそうな懸念もなくはない。なんにせよせっかく買ったんだし、しばらく様子みてみましょう。
行脚の日
自宅〜浦和でラフ提出〜新橋で打ち合わせ〜渋谷で打ち合わせ〜事務所、と移動距離の長い1日。
浦和の小さな代理店さん、この度事務所を移転していて新事務所へは初訪問だったので「銀座あけぼの」の豆大福をお祝い代わりのお土産に買っていく。いつも持ち歩いているPORTERのカバン、浦和で提出するB3ケントボード貼りのカンプを入れた紙袋、新橋の打ち合わせで見せるラフを入れたLIHIT LABのA3書類ケース、そして豆大福というなんだか収拾のつかない大荷物を両手いっぱいに持ってふうふう言いながら歩く。
新築の事務所は3階建てで2〜3階は社長さんのご自宅。究極の職住隣接ですね。こういうの見せられると、毎月毎月住まいと事務所、両方の家賃を払うのって悲しくなってくる。来世ではなんとかして地主の子に生まれてこようと思います。

新橋での打ち合わせの後、若干身軽になって銀座駅まで歩く。ちょっと見ない間に銀座通りにはまたいろんなブランドの直営店がオープンしてましたね。



でね、銀座の街を綺麗な服着て買い物袋持って歩いてる人達、半分くらいが中国語か韓国語。顔だけ見てると日本人と区別つかないんだけど中国、台湾、韓国などから買い物で来てる方たちばっかりでしたよ。前からこんな感じでしたっけ銀座って? LANVINとかTIFFANYとかのショップの前で外国語ばかりが聞こえてくる中に立ち止まってると、ふと、僕のほうがどこかアジアの都市に旅行に来ているんじゃないかと錯覚するような気分でちょっと面白かったです。
iPhoto Book届く。
夕方、打ち合わせを終えてオフィスに戻ると、ビルの集合フロントの受付のお姉さんから「お荷物ひとつお預かりしています」と連絡。
来たか来たか?



来た〜。注文してから8日目に届いたApple社からの小包。



ワーイ。iPhotoの「ブック」の機能を使って5月のフィレンツェの写真を一冊にまとめてみたのです。



僕の場合商売柄、周囲にMacユーザーが多いのに、これをやってみたという人についぞお目にかかったことがなく、ネットで検索した範囲ではプリントのクオリティはそんなに高くないよとの評判でした。なので過度の期待はしていなかったんですが、かなりいい感じに仕上がってました。
これ、出力には何を使ってるのかなあ。じーっと目を凝らして見ると、CMYKの網点らしきものが見えます。でも昇華型プリンタのような質感も無くは無い。想像するに液体トナー系のオンデマンド印刷機、でしょうかね(嘘だったらごめん)。写真ですから完全な平網というのは無いわけですが、空とかの均一色もしくは緩いグラデーション部分にはオンデマンド機特有のムラが少し見てとれます。写真プリントの観点のみから言えば最近のインクジェット機のいいやつに及ばないでしょうね。カメラマンさんとかだと少し不満を持つかも。でも少なくとも旅の記念にちょっと印刷してみたい…というレベルの要求には充分に応えてくれています。発色もまずまずだし色の転びも無い。なにしろちゃんと印刷製本された一冊になるってのは嬉しいものですね(←本職のグラフィックデザイナーと思えぬコメント……)。
ああ駄目だ、見てたらまた行きたくなって来た(泣)。フィレンツェに留学経験のある友人に、出発前に色々教えてもらって有り難かったので、お土産代わりに一冊進呈しようと思ってます。

そう、フィレンツェと言えば、短大生の落書きのニュースがありましたね。



その大聖堂で撮った僕の写真にも…



色々写ってました。日本語らしきのもありますね。
モラルについての話しは諸先輩方にお任せするとして、僕がもったいないなと思うのは、設計法のコンペのプレゼン期間だけで数年(月曜にオリエンうけて木曜にラフ提出〜とかいってるアタクシたちの今の世界じゃ考えられない)、ファサードも含めると最終的な完成まで六百年(その頃にゃクーポラ作ったブルネッレスキのひ孫だってこの世にいませんがな)とかいうあのドォーモの凄さは、たとえ予備知識が無くとも「感じ」られるものだと思うんですね。クーポラ内側のフレスコ画にしたって、イラレとフォトショで一晩徹夜して描きましたってんじゃないことだけは確かです。



僕だってデザインの仕事してるわりにはこういう芸術についてはそんなに詳しくないです。でも見ればなんかわかるじゃないですかなんだか凄いぞってのは。世界遺産だからどうとかいうんじゃなく、ただそれら造作物の凄さや明らかに非日常であるその町並みにひえーっと圧倒されて頭真っ白になっちゃうことこそが、安くないお金払ってはるばる十何時間も飛行機乗って日常を遠く離れることのシアワセだと考えると、彼女たちはそれを味わえていないのでしょう。少しでも街の雰囲気に浸れていれば少なくともクーポラのてっぺんで油性ペン取り出すという発想にはならないでしょうからね。だから、けしからん、とか思う前に、なんともったいない、とオッチャンは写真眺めながら思うのでありました。
ああ、駄目だ、眺めてたらまた行きたくなって来た……。

はーい、仕事しまーす。