デザインの現場から。と言いつつほぼデジカメの噺。
by MASANOBU HIZAWA(アートディレクター/グラフィックデザイナー)
http://www.neelmartin.com/
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AM10:00、デニーズで。


AM10:00、think Park内のデニーズでカメラマンF君と朝食を食べながら打合わせ。数年ぶりに会ったF君、新しく刷ったという名刺をもらって見てみると、大崎のオフィスの他に台湾の住所も刷られていた。聞くとむこうでも結構仕事してるらしい。にゃろー、知らないうちに世界を股にかけよってからに!
会うのこそ数年ぶりだけど、付き合い自体は断続的ではあるけどもう10年以上。お互い駆け出しの頃からの仲間なもので、案の定、仕事の話しは5分ほどであとは近況報告と思い出話。
下手するとハレー彗星並みの遭遇頻度の我々ではあるけど(そんなワケないって)、こうしてごく自然にまた仕事ができるというのも嬉しいことです。来週くらいにF君と頻繁に埼玉に通うことになりそう。
(あと、朝食しながらの打合わせってなんかいいですね。パワー・ブレックファーストっつうんスかい?)
商業登記簿謄本とシナモンドーナツ
クライアントさんとの契約書類に商業登記簿謄本と印鑑証明が必要だったので、午後、渋谷の法務局へ。



基本的にお役所という所が嫌いな僕ですが、この法務局だけは会社を設立した時の思い出が甦ってくるので独特の感慨があります(あら、この時書いた2010年がだんだん近づいてるぞ)。
独特の感慨はあるんですが、やっぱりお役所はお役所。わずかな滞在時間でなぜかやはりテンションが下がってしまう。なぜあの人達はあんなに低いテンションで仕事するんだろう。ま、確かに法務局の窓口のおじさんが居酒屋の店員みたいに元気だったらと考えるとそれはそれで不気味ではありますけどね。

「ハイらっしゃい!、1名様、今日は何の御用で?」
「あの、商業登記簿謄本を…」
「ハイ商業登記簿謄本1枚ご注文はいりましたぁっ!!」
「(職員一同)あざーッス!!」

それも嫌だけど、だからって今朝何か悲しい出来事でもあったのだろうかと心配になるような顔で来客に接しなくたっていいでしょうにね。おそらく自分達にとっての「客」が誰なのかという概念がそもそもないのかもね。
区役所なり法務局なりでテンション下がってしまった時の解決法はいつも同じ。(前にも同じような事書いてますね僕)とりあえずファーストフードでもラーメン屋でもいいから元気なお店に入る。今回は法務局を出てすぐ、宇田川町の白い大きなマンション(クリエイターのオフィスが多いことで有名な建物。僕も入居してる制作会社さんとの打合わせで何度か中に入ったことありますが、古くてデザインもごく普通なんだけど、落ち着きと独特のビンテジージ感があるんですよ)の1階にオープンしていたドーナツ屋さんに入りました。



店員の女の子の、いらっしゃいませー、の明るい一言で、救われる感じ。その子はおそらくアルバイトだろうし、法務局の人に比べれば偉くもないし人生経験も乏しいし、語尾を伸ばすし、仕事もまだおぼつかないんだろうけど、でも懸命だ。コーヒーとシナモンドーナツを買った僕に、480円以上に値する時間と空間を提供しようとしてる。働くってそういうことだよなあ。

だからというわけじゃないけど美味しいシナモンドーナツだったなー。おとついはタイ焼き食べてるし、なんか最近やたら甘いもん食べてる気が……。
美味なたい焼きとUCR値の問題


駅からオフィスへの道中に昨年たい焼き屋がオープンしていて、たまーに買ってます。餡から自家製造してるだけあってベラボーに旨い。たい焼きに限らないけど出来合いの物をレンジであっためるのではなく、その場で焼きたてのやつをもらってホカホカ持って行くってのはなんとなくまっとうな喰いものという感じがしていいですね。そんな訳で本日新聞広告の入稿を済ませました(話しの流れがよくわかりませんが)。
パンフレット、カタログ、ポスター、雑誌広告、パッケージ、Webと色んな媒体のデザインをやってきてますが実は新聞広告は経験が少なくて、3年前にやった時は写真はポジ入稿だったし、おととしくらいにデータでやった時は白黒ページだったしで、新聞の完全データ入稿はカラーではたぶん初めてではなかろうか? 自分でも意外でしたが。
新聞の場合は入稿規定がいろいろ細かくて、特にカラー画像は少し面倒。例えばS新聞だとCMYKインクの総量上限が240%なんですね。photoshopのカラー設定で「新聞用」というCMYKのプリセットを選べば規定に沿った画像を作ること自体は簡単なんですが、元画像と見比べると色の深みがゴッソリと持っていかれてしまった感じで悲しくなります。とは言え新聞紙上で綺麗な写真を見かけることもある以上、そこが分解の腕の見せ所なのかなということでプリセット使わずに自力でやってみるかと思い、元画像に戻って自分でトーンカーブをいじって調整もしてみたんですが、いかんせん240%はキビし過ぎません?(ちなみにJapan Color 2001のUCR値は350%)。みんなどうしてるんだろう、と素朴に疑問に思った次第でして。カメラマンさんとかが色域にどんだけこだわっても、出力段階でのUCR値がそんなに狭いんじゃねえ。印刷する側にとってインクの多いデータが厄介なのはわかるんだけど、そこはひとつ、ガッツで乗り越えていただきたい。
そもそもにしてY新聞の入稿マニュアル見るとイラレのバージョンは10までになってるし、おしなべて新聞社のデジタル対応は遅れてる感じがしますね(ま、デジタル対応とインク量の問題とは本質的には別物ですけど)。
CSイラレの機能はバージョンダウン保存のできないものも多いので、新聞社や雑誌社がこんな調子ですと僕らはいつまでもCSの新機能を思う存分に使うことができないわけです。そこんとこ頼みますよひとつ。
MacBook Airとジェダイの危機
極めて信頼性の「低い」複数の情報筋から、2008年初頭にAppleよりタブレット式のモバイル端末がリリースされるという話しを聞いていたのですが、MacBook Airのことだったようで。



「ディスクドライブが無いとは!」「自分のとこで推奨してるFire Wire付けないとはどーゆーこっちゃ?」と、反響も様々なようですが、ここはひとつ「だってAppleですから」という身も蓋もない結論でいかがしょう皆様。
あれなんでしょうな、ドライブだのなんだのといったゴチャついた「装置」は、オフィスなり家庭なりあるいはweb上のどっかにひとつ鎮座してればよくて、個々の使う「端末」はワイヤレスでその「装置」にアクセスすればいいのよ、という考えなんでしょうね。ま、さすがに触手は動かないですけどねこれには。

こんなのとか



こんなの



とかだったら(しかし誰だか知らないけど上手いコト作りよるねこういう画像)買う買わないはともかく、おおっ、と食いついたと思うんですけど。

かと言って例えば「東芝」からこんな端末が発売になったって、たぶん僕らは見向きもしないわけで、やはり僕らって知らないうちにアップル教に身もココロもどっぷりといっちゃってるんでしょうねきっと。
ある日、世の中に広く出回ったiPod touchやMacBook Airの全てのディスプレイに黒いマントかぶったスティーブ・ジョブズが現れ、「時は来た。オーダー66を実行せよ」とか言おうものなら、僕らは従順にイエス・マイロードと答えてジェダイの騎士を抹殺してしまうに違いない……
今週のもろもろ
今週はなんやかやと慌ただしくて更新できず。

火曜。某デパートのパンフレット用の原稿・写真・ロゴデータなどがじゃんじゃんと届く。色んなテナントさんからの原稿のアッセンブリとなる場合、データの仕様もまた色々でして、画像はjpegだっり紙焼きだったりポジだったりtiffだったり、何故かエクセルに貼りこんだ状態でくれるとこもあったりするし、メディアもCD、メモリースティック、MO、フロッピーと様々。
なので僕らは何に入ったどんなデータでも開けるようにしておく必要があり、今でもフロッピードライブもこんな時の為にちゃんと用意してあります。今回もひとつフロッピーで来た画像があったので、ではさっそくとドライブ探したんですがなにせ年に1度使うかどうかのものだけに、どこにしまったかわからなくなりそれじゃ意味ねえじゃんとボヤく。いつまでも探してる時間もないので駅前のキンコーズにひとっ走り。こういう時に便利ですねキンコーズ。



あらゆるメディアドライブが全部つながったMac(G4でしたけどね)を借り、データをMOに移す。タイムレンタルという扱いなので210円で済む。オフィスに戻って作業。夜は来週入稿の新聞広告の直しなど。

水曜。そのパンフレットの人物モデル撮りに立ち会うべくスタジオへ。



月島のエガリテ。僕の好きなスタジオのひとつ。久しぶりに来ました。
綺麗なスタジオ、綺麗なモデル。うーん、立ち会いはかくありたい(いや他意はないですけど)。

木曜は埼玉上尾市での催しの取材(今度作るパンフのネタとして)、某社製品パッケージのラフづくりなどなどそんなこんなで本日に至る。

…こんな風にダイジェストで書いちゃうとなんだか面白みがないですね……。
やっぱその日のうちにフレッシュな思いを書かなくちゃ。
早朝の下り電車と出先での昼食
6時起きで埼玉某市へ赴き、某案件の撮影に立ち会う。“某”ばっかしですんません。公官庁系の仕事なので詳細は書けないんです。
早起きは苦手ナリ。朝6時に寝ることはあっても仕事で6時に起きるなんて年に幾度もないですねー。



電車ガラ空き。座り放題。
撮影は午前中で終了し、代理店さんが地元の小さなイタメシ屋さんに連れて行ってくれました。パスタも美味しそうだったんですがペッパーステーキのランチというのに心惹かれてそれを食べてみました。ひとくち食べて思わず、うまっ、と唸る。こんな所に(失敬)にこんな名店が、とビックリするほどの美味しさ。この店はタダモンじゃなかろうとさっきネットで検索かけてみたら、やっぱり地元じゃ有名みたい。今度東京からわざわざ食べに行ってもいいなと思うくらいでした。出先での仕事の時は昼飯ってやはり楽しみです。おかげさまで午後もバリバリ働けました。……考えようによっちゃ安上がりな男であります。

ちなみにおとついのスタジオでは今半のスキヤキ弁当をいただきました。これまた美味。贅沢。



この案件の時は代理店の担当スタッフさんがいつもバラエティーに富んだ昼ご飯を用意してくれる。おとついの場合も8名のスタッフに対して4種類のお弁当がそれぞれふたつずつ、テーブルに並びました。だいたい毎度12時半〜1時くらい、キリのいいところでさあメシだメシだ、ということになって皆ドヤドヤとテーブルの所に来るわけです。で、カメラアシスタントとかスタイリストアシスタントとかの若い人達は、人間ができているのかそのように教育されているのか、他のスタッフが選び終わってから残ったやつを取るんですね。ま当然と言えば当然かもしれないですけど。たまに「いいよ好きなの先に選んじゃって」と勧めても、いやいいッス、ヒザワさん選んでください、と言って頑として取ろうとしない。僕、カメラマンさん、スタイリストさんが選び終わったところで、アシスタントさん達は、じゃ、いただきます!と言いながら残ったのを手にする。
日本人の精神、いまだ健在なり。
と思う反面、こういう時に「あ、これうまそう。俺これ喰っていいすか」とか言いながら屈託なく好きなのを真っ先に取っちゃうようなタイプの奴が、実は伸びるんじゃなかろうかとも今まで色んな奴を見てきた経験上思ったりもして……。
11,550,000
朝からスタジオ。おとついオリエンを受けたパンフレット掲載商品の撮影に立ち会う。
今回はジュエリーとか高級腕時計とか、高価な商品ばかりのラインナップ。
ジュエリーのひとつに付いていた値札だけお見せしましょう。



「いちじゅうひゃくせん…」と数えはじめたそこのあなた、センヒャクゴジュウゴマンエン、です。

思わず周囲を見回しましたね僕は。

「外への出口はそのドアを出て廊下の先……ざっと30メートルといったところか。廻りに人間は5人。幸い全て壁側にいるから出口側の防御は無いに等しい。今、このジュエリーをガッとつかんでダッシュすれば、たぶん追いつかれず外まで逃げられる。すかさずタクシーに乗り込んで羽田まで行けば、警察の手配の及ぶ前に搭乗することは可能であろう。いや飛行機は危険だな、ここは新幹線だ。下関まで逃げて、そこからフェリーで釜山に渡るのがよかろう。韓国でジュエリーを換金した後に偽造パスポートを入手して南米コロンビアあたりに…」

コロンビアでの豪遊を思い浮かべ、しばし幸福な気分に浸っていた時に次の商品が運ばれて来まして、ハッと妄想から醒めました。
強奪はいけませんよ。お洒落じゃないし。次の機会までに「オーシャンズ11」から「オーシャンズ13」までをDVDで見直して、よりスマートな手段を検討しておこうかと思います。
オリエンその他


午前中から某クライアントにて、今度作るパンフレットの掲載商品オリエン。その後打ち合わせして事務所に戻ったら午後5時になってました。で、そこからデザインの仕事に黙々と取り掛かるわけです。打ち合わせや撮影立ち会いで外出するのは好きなので嬉々として出掛けるんですけどもそういった用事でも1日ってすぐ過ぎちゃいますねー。公務員なら午後5時に帰社した段階で終業だもんな。前に紳助サンが「行列のできる法律相談所」で橋下弁護士に「あんた(こんなにテレビばっかり出てて)いつ弁護すんねん」と言ってましたけど、こうして日中を打ち合わせその他で費やす日が続いたりすると、俺はいつデザインすんねん、と思うこともありますね。
でもなー、Macの前での作業としてのデザインも大事だしなるべく時間を割きたいけど、打ち合わせとかプレゼンとかリサーチとか撮影立ち会いとか、いわばデザインの基になるコミュニケーションワークも楽しいし大事なのよね。て言うかアートディレクターとしての見地から言うなら、白紙に命を吹き込む喜びはそうした中にあるのです。ということで今年も頑張りましょう……と、新年なので思わず殊勝なコトを書いてみる……。
それはきっと「なんかの時」に。
少し遅くなりましたが本年もよろしくお願いいたします。
二日間だけの帰省から戻り、四日は仕事始め。オフィスに行く前に住まいの近くの小さな神社に寄って厄除け。初詣すら数年に一度、気の向いた時にしか行かない僕ですが、昨年秋に40になったということで今年は本厄。そんな年くらいは……と思いまして行ってみることにしました。



受付を済ませ、手水で手を清める。作法がわからず、前方に「お清めのしかた」というイラスト入りのパネルがあったので、イラストの女の子のポーズまで真似て手を洗い、口を漱ぐ。待合室で少し待った後に社殿に通されお祓いを受ける。来ていたのはいわゆる厄除けの人だけでなく、職場の団体とか家族連れとか色々でしたね。最後に一人ずつ祭壇の前に呼ばれて玉串を奉上するんですが、僕の前にお祓いを受けに来ていたおばあさんが神職の言うことを全然聞かない。玉串を置くやいなやすぐにパンパンと柏手を打つ。
「まず、鈴をお鳴らしください」と神職。
「ああ、ハイハイ」じゃらんじゃらん。
「えー次に、二礼、二拍手…」
パンパン
「いえ、まずですね、お辞儀を二…」
パンパン
「うん、あのね、柏手の前に、お辞儀をするんですよ」
神職が「あのね」と言うのを初めて聞いた。
おばあさん、ああすいませんねえと言いピョコピョコとお辞儀をした後、やおら鈴をガシャンガシャンと再び鳴らす。
「ハイ、アノ鈴はもう結構ですのでね、今度は拍手を二度お願いしますね」
暴走するおばあさんのおかげでかなりリラックスできていた僕は、二礼・二拍手・一礼を完璧に決め、お神酒を頂いて終了。石段を降り振り返ると、近所の住宅地の中にこんな厳かな空間があったのかと驚く。不思議と、シャンとした気持ちになるものですね。

オフィスに出て仕事し、夜は、大学の同期4名で集まって汐留某所にて新年会。ゼミも一緒だったOと、同じくゼミ仲間で現在ちょいちょい仕事で世話にもなってるK、昨年暮れに転勤で東京に来たばかりのD。



少なくとも四人揃うのが卒業以来なのは確かで、みんな個別には最後に会ったのいつだっけ状態。もはや記憶おぼろげ。
「D、あのRX-7まだ乗ってんの?」
「…いやヒザワはあのクルマ見てないと思うけど」
「うそ、乗してもらったよ俺一度」
「だって卒業した後だよRX-7買ったの」
「あれえ………いやでも乗ったよぉ」
「なんかの時に来たっけ?」
「そうだ、なんかの時に行ったんだワ俺」

おぼろげな部分は「なんかの時」だったということで強引に納める。

「A先生が上京した時に俺とOとKで集まったよね」
「いや俺知らないよそれ」
「いやホラ、目白かどっかで会ったじゃん」
「それってなんかの時の話じゃない?」
「ああそうか、あれはなんかの時か」

おぼろげな部分は「なんかの時」だったということで強引に納める。
いいの。昔の話なんだから。未来志向でまいりませう(涙)。