どうするどうする、仕事は全然終わらない。けど「トトロの森を描いた人。ジプリの絵職人・男鹿和男展」は今日で終わってしまう。どうしようどうしよう。そもそも何が悲しくて日曜日に普通に仕事に追われているですかね僕は。あ〜あ、このエキシビション7月からやってたんだからもっと早く行っておけばよかったなあ。でもこれ無理してでも行かなきゃ「メイキングもの大好き人間」の沽券に関わるし後悔するぞ絶対。「アート オブ スター・ウォーズ展」を見た時の感動を忘れたか。絶対あれに匹敵するクオリティのはずだ。そりゃ行くしかないでしょ旦那。しかしなあ、月曜夕方提出の仕事にメドがたっておらんしなあ……あーどうしよどうしよ。
……と、夕方くらいになってから悶々と悩んだ挙げ句、ええい、パッと行ってチャッと見てサッと戻ってくれば2時間くらいで済む話しだ、行っちゃえ行っちゃえと決意し、Macの電源おとしてオフィス飛び出し東京都現代美術館へ。
最終日(明日月曜も追加開館らしいです)とあってすごい混雑。チケットを買ったのが6時35分。
チケット売り場のお姉さんが釣り銭返しながら言う「ただいま入場まで80分ほどお並びいただいてる状態ですがよろしいですか?」
ひえーっ。
「チャッと見てサッと戻る」作戦、早くも挫折。よろしいですか?と聞かれて、「いいえ駄目です」と答えたところで状況が改善するとも思えなかったので、素直に待つしかないですね。
「はい。待ちますよ」と僕。
「ではあちらの列にお並びください」
「わかりました。閉館は何時ですか?」
「8時です」
どうも、と返事してロビーにできている列の最後尾に着き、ン?、と考える。いま6時35分。80分待つと7時55分。閉館8時。
コラーっ5分しかないやんけとツッ込もうと振り向いたら、既に後続の人だかりに飲まれてしまってお姉さん遥か彼方。
実際には50分ほどで入れました。やれやれ。
(撮影禁止なので、写真は図録)
いやもうね……なんて言うのかな、悔しくなる。上手過ぎて(わかりますかねこの感じ?)。もうね、キーッてなります。
一見細密に見えるアニメの背景画、しかし目を近づけてみるとそのタッチは驚くほど大まかなんですよね。筆の幅を生かして、ポッポッポ、と絵の具を置いていってる感じ。線で輪郭を区切るのでなく、光を面で捕えている、と言えばいいのかな。
宮崎アニメ見てると、例えば同じ外光風景であってもそれが「アドリア海の夏の昼」なのか「日本の秋の夕暮れ」なのか「月明かりの森」なのかが鮮やかに感じ取れると思うんですけど、その辺の「種明かし」がちょいと垣間見れたような。それにしても上手いなあ男鹿さん……。
ショップでは、図録の他に解説付きの画集も売ってました。パラパラめくってみると「空間と面の意識」とか、まさしく僕のデザイン・マインドの核心をウリウリと突っつく解説文が。いわく“「面の整合性」と「パースペクティブ」は別物であり…” “ポイントを絞って省略された画はそれなりの緊張感を画面に漂わせ…”
クーッ、男鹿クン、君わかってるねえ(何様じゃ俺は!)。そうなんですよねー。それって絵画だけじゃなくって僕らのグラフィックデザインにも必要な概念なんだよなあ。ということで、
画集も買ってオフィスに戻って来ました。
うむ、50分待ちは想定外だったけど無理して行ってよかったなあ。今日この後の仕事の修羅場はとりあえず考えないようにして、しばしコーヒーでも飲みながら、画集を眺めていましょうか。