たまには実際の仕事の技術的な話しも書きましょうかね。
ブログになって、字数も画像数も融通が効くようになったわけですし。
業界以外の方にとっても、ふだん目にする広告物がどんなふうに作られてるのか、興味あるかも知れませんしね。(て言いますか僕自身が、いわゆる「メイキング物」大好きなのよね。前も書いたけど「もののけ姫」は一度観たきりなんだけど「もののけ姫はこうして生まれた」のほうは5回くらい観てるという……)
進行中の案件や新作だと不都合もありましょうが、1〜2年経ったやつならいいでしょう。
では一発目、04年秋に作ったショッピングセンターのポスターです。
僕のラフを渡した上でカメラマンが撮ってくれたのが、
1. 白ホリバックのタレントさん
2. 透明アクリルのボール
3. 木の葉(模型)数点。
まずは淡いグラデーションにバンディング(印刷した時に出る諧調の縞)防止のためぼかしやノイズを加えた背景を用意し、切り抜いたタレントさんとボールをとりあえず配置。
髪の毛は別レイヤにして「比較ー暗」で重ねる。「下地」「素材の背景」「髪」の明暗関係さえきちんとしてればこれが一番かなと思います。でも髪のハイライトのとこは後からちゃんとケアしましょう。
せっかく撮ってもらったボールですが、いささか上手く撮れ過ぎていて、ミニチュアを拡大した感じがバレてしまう…。キレイ過ぎるんですね。
も少しランダムな反射が欲しくて、3Dで球体作ってみる。
撮影されたボールとCGボールとで彩ちゃんを挟むように重ねてみる。CGボールのレイヤ演算は「ハードライト」で。
うーん、まだツルツルし過ぎで嘘っぽい(嘘なんだけど)。
「汚れ感」が欲しくて、東急ハンズ行って直径20cmくらいのアクリル玉買って、事務所の机の上に紙ひいて自分でデジカメで撮ってみる。
さすが素人! 汚い写真だなあ(と、喜んでる奴)。真ん中あたりの汚なすぎる映り込みは消した上で早速こいつも重ねてみる。
いい感じにねりましたねー。プロの写真、僕の写真、CGの「いいとこどり」。
粒状感を、彩ちゃんを基準に球体のほうにも施す。
あとはひたすら丁寧に、根気よく。素材の葉っぱを、変形しながら並べます。
一番上のCGボールレイヤのハイライトを生かして、その下に葉っぱを。個別に明るさをいじって遠近感を出します。おっと光の向きに合わせた「嘘ハイライト」や「嘘シャドウ」もちょいと必要ですわ。なるべく奥の目立たない葉っぱに施して、手前のは本来のライティングを生かしましょう。
ホントは前後の葉っぱでぼかしも変えて雰囲気出したいんですが、球体の奥に彩ちゃんがいる設定なので、奥の葉っぱがボケててその奥の彩ちゃんがシャープだと理屈がおかしくなりますんで我慢。
球体の中に照り返す木の葉のオレンジ色をほんのり加え、影をつければ……
出来上がり。レイヤ数は42。ま、そんなもんでしょう。
全部を定着させてから、全体を複製して多少の雰囲気出しの処理(ここで結構ぐっと変わるんだけど、さすがに秘密。えへへ)。この時は4×5のポジに出力したんだったかな。
……なんだかこうやってダイジェストで書くとえらくチャッチャとできたみたいに思えるなあ。結構大変だったのよね、特に球体の質感は悶絶しつつ。
どうなんでしょう、この「メイキング & Tips」。好評なようならたまーに書いてみようかな。いやでもメイキングを披露するようなネタ、そんなにあるっけアタクシってば?