「Suica」の電子マネーで買い物したり、お茶買ったりする機会が増えてきました。小銭要らずで便利ですもんね。でもこれってまだ都市圏だけの話しですから、スイカだのパスモだのとニュースでは聞いててもなんのこっちゃという人達も多いわけです。
今日、打ち合わせの帰途、山手線のホームで缶コーヒー飲もうと自販機にSuicaをかざそうとしたら……
「あ、やるよやるよ!」セーラー服姿の女子高生が高い声をあげた。修学旅行ですかね。話しには聞いていた電子マネーを「実演」する人が現れた、ということでしょうな。
「ユミ! おいでって、(この人が今から)スイカやるし!」
予期せぬ展開に僕は当惑しつつも、流れとしてユミチャンがくるのを待たねばいけない感じだったので、Suicaを構えたまま、待った。結局、四人の女子高生が目を輝かせて半円形に僕を取り囲むという図になった。
……これは何か一発ギャグでも披露しなくてはいけないのではないのだろうかという雰囲気だったんだけど、気の利いたことが何も思い浮かばなかった。なんと情けないことだ、日ごろの修練が足りないね僕は。
で結局、では、とか会釈してからおもむろにSuicaでタッチした。ゴトン、と缶コーヒーが出てきた。それだけだ。
女の子たちは、期待したほどには面白くなかったらしく、無表情に立っている。僕は僕で、微笑んだまま、この変な空気をどうやって収束させれば良いのかと焦りまくっていた。やがて彼女たちは、ふうん、とつぶやきを残して反対側のホームの電車に乗り、去って行った。
残った僕は、代打で登場して三振したような、よくわからないけどなにかとても申し訳ないことをしてしまったような気分で、ひとり缶コーヒを飲んだ。